「投資=売買」という誤解がないか?
こまごまとタイミングを狙おうと思うと、得られるはずの利益も得られない羽目に
そう考えると、マーケットのタイミングを効果的にとらえたくなります。株価が動かないときに休戦して、株価が動くときにだけ参戦すれば、リターンは上がります。しかし、そうは簡単にいかないのが、株式市場です。
マーケットに入ったり出たりを繰り返すことを、「マーケットタイミングをはかる」といいます。これが上手くできれば効率がよいのですが、逆のことになると機会損失を作ります。
タイミングを計ると利益を取り損なう
たとえば、2013年5月23日のようは大きな株価調整の後に、東証株価は停滞を続けます。大きな下げの後には、もっと大きな下げが来るような気がして、心配して人は株式市場から一時撤退しがち。だから、「また上がりだしたら戻って来よう」と思うわけです。下がるリスクを回避するために、マーケットから退場します(売ります)。そうしたときに起こりがちなことが、急な反発です。あるいは、反騰ともいわれます。ダラダラとしていた相場にいっぺんにエネルギーに満ちて、力強く上がり始めます。
悲観的に考えて退場していた人は、自分の思惑と反対方向に相場が動いたとき、素直に流れに従えません(買い出動できません)。自分の予測が間違っていたとは、やっぱり考えたくないので、マーケットの変化に対してとっさには動けないのです。そうなると、下落を恐れるあまりに、株価急騰というご褒美を取り損ねることになります。
日本株式市場の統計:4%の不在で95%の利益を失う
過去の日本株式市場において、こんな統計があります。1951年から2001年までの50年間の株価推移に関してです。1951年末に100円を株式市場に投資したと仮定すると、2001年末には資産は2万8880円に成長していました(288倍になりました)。
ところが、同じ100円を投資していたとしても、株式市場の毎月のリターンのうち、リターンの高かった上位25カ月のリターンを取り逃したとすると、資産はわずかに1245円にしか成長しなかったことになります(たったの12倍)。
つまり、投資期間のうち4%だけマーケットから離れたことで、リターンの95%と取り逃すことになったのです。
米国株式市場の統計:4%の不在で99%の利益を失う
同じような統計は、米国株式市場にもあります。こちらは、1925年から2001年までの75年間の統計です。1925年末に1ドルを投資したと仮定すると、2001年末には2279ドルに成長していたことになります(2279倍になりました)。
しかし、同じく1ドルを投資していたとしても、株式市場のリターンのうち、上位38カ月のリターンを逃したとすると、わずかに15ドル97セントにしか成長しなかったことになります(たったの15倍)。
米国においては、投資期間のうちの4%だけマーケットから離れたことで、リターンの99%を取り逃すことになりました。
たった10日間が年間の収益を左右する
投資期間の4%とは1年間でみるとどのくらいでしょうか?それは銀行営業日ベースで計算すると、たったの10日間です。マーケットにいなかった日数が1年間のうち、たった10日だけだったとしても、それが最高に反発した(下落のあとの反騰)後の10日であれば、ほとんどのリターンを取りこぼすことになるといっても、言い過ぎではありません。
こんな事実から、普通の人が確実にもうけるには、マーケットから出入りしないことが鉄則であると、海外ではいわれているのです。
感情に左右された判断から売ったり買ったりを繰り返していると、損をしていくワケがお分かりいただますか?投資をし続ける(マーケットに居続ける)ことが、必然の恵みを受け取る最上の方法なのです。
長期投資家の合い言葉は「ステイ・イン・ザマーケット(Stay in the market.)」です。