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なんで任天堂はゲームを値切るゲームを作ったか(2ページ目)

任天堂がニンテンドー3DSダウンロードソフトとして発売した、「だるめしスポーツ店」というゲームが話題になっています。このゲームなんと、ゲームを値切ることができるゲームなんです。この不思議なソフトからは、任天堂のダウンロードビジネスに対する考え方が垣間見えます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

ゲームで値切れば、本当に安く買える

だるめしスポーツ店の図

イヌジをうまいこともちあげれば、わりと簡単に値切れます。このお店、大丈夫でしょうか

だるめしスポーツ店では野球を題材にしたミニゲームが買えるのですが、購入時、価格交渉をすることが可能です。

店主のイヌジをうまいことのせると、400円だったゲームを、300円で売ってもいいと言ったりしてきます。さらに交渉すればもっと値が下がるかもしれません。

さて、ひとつ注意していただきたいのは、この400円とか、300円というのは、ゲームの中の仮想通貨ではないということです。ドラゴンクエストシリーズのゴールドとか、ゼルダの伝説シリーズのルピーとか、そういう類のものではなく、日本円です。400円のゲームを買うということは、プリペイドカードなりクレジットカードなりを利用して実際に400円を課金してゲームを購入することになります。

つまり、イヌジと交渉し値切るということは、実際の購入価格を値切るということで、400円で売られたものをイヌジが300円でいいと言えば、実際に300円で買える、ということでもあります。ですから、だるめしスポーツ店は、ゲームが買えるゲームであり、ゲームが値切れるゲームでもあります。ゲームの購入体験をゲーム化した、という言い方をしてもいいかもしれません。

購入体験を遊ばせる、というのは中々斬新な切り口です。

たくさん遊べば安く買える

値引きの図

値引きって、なんだかそれだけで興奮する響きがあります

もう1つ、注目したい点があります。だるめしスポーツ店でゲームを値切るには、アイテムが必要です。値切り交渉を始めるにはイヌジの大好物であるゆでたまごをあげなければいけません。あるいは、イヌジの長い鼻毛を切ってあげるために鼻毛切りが必要になる、なんてこともあります。

これらのアイテムをどうやって手に入れるかというと、野球のミニゲームを遊ぶことで手に入ります。ミニゲームを遊ぶとハンコシステムというスタンプカードのようなものにハンコが押されていって、ハンコがたまるとアイテムが貰える仕組みです。イヌジと交渉するためのアイテムの他、50円引きクーポン、30%引きクーポンといった、出すだけで割り引いて貰えるクーポン券まで手に入ります。もちろん、実際の価格が安くなるのです。

ゲームを遊べば次のゲームが安く買えるよ、という構造になっていることは重要で、ここに任天堂の考え方が反映されているように感じます。
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