ヘッドホン・イヤホン/おすすめヘッドホン・イヤホンレビュー

2013年上半期、おすすめのイヤホンは?(2ページ目)

高音質イヤホンなんて、単なるブームだからすぐ終わるよ。数年前には、こんな斜に構えた意見を耳にしたものですが、どっこいイヤホンは、趣味の主役としての座を見事に確立しています。今年上期もさまざまな注目モデルが登場。その中から、価格や目新しさも考慮してお勧めモデルを選んでみました。

辻村 多佳志

執筆者:辻村 多佳志

ヘッドホン・イヤホンガイド

第4位
お手頃な価格ながら爽やかで伸びのいい中高音が魅力
フィリップス Fidelio S2

Fidelio S2

フィリップスの高音質イヤホン「Fidelio S2」

ハイファイ性能を重視したヘッドホン・イヤホン選びとなると、主役の座に上ることが少ない印象が強かったフィリップスですが(筆者個人の思い込みでしたら恐縮です)、このFidelioシリーズは、そんな同社のイメージをぬぐい去ってくれる「いい音」が自慢のモデルです。メーカーでは、音のソムリエと呼ばれるフィリップスのサウンドエンジニア「ゴールデンイヤー」が開発初期から最終審査まで関わり、原音を細部まで忠実に再現しました、と高らかに宣言。スッキリとシンプルながら高級感のあるデザインを見ても、その意欲が伝わってくる気がします。

本機のハウジングを見てみると、背面が丸いメッシュ状になっていることに気付かれるでしょう。じつはこの部分、小さなホールが数多く設けられていて、ドライバ背面やハウジング内の音圧を適度に逃がす構造になっているのです。オープンエア型ヘッドホンの設計思想をイヤホンに採り入れたと考えていいでしょう。

音漏れ防止という面を考えれば、密閉型に比べ不利なことは間違いありません。実際に店頭で聴いてみても、中高音がシャカシャカと漏れ出してきますし、逆に周囲の音もそれなりに聞こえます。電車の中などでは注意して使用する必要がありそうです。しかし、このセミオープン構造は、音作りに大きく貢献している印象でした。

サウンドはじつに軽やかでさり気なく、ナチュラルそのもの。日本刀でスパっと斬るようなシャープさや脳味噌にガツーンと衝撃が伝わるようなエネルギー感は控えめですが、ストリングスやボーカルの繊細さ、金管楽器の輝くような解像感がしっかり感じられます。低音も、このナチュラルで瑞々しさがある中高音を覆い隠さないしなやかさ。迫力や底力を求めるとプレーヤー側での低音ブーストが必要かもしれません。

絶対的なサウンドクオリティ自体がそれほど突出しているわけではないですし、きしめんのように平べったいケーブルは使い勝手がいま一歩に感じました。しかしなんといっても、実売価格1万2000円台というお手頃価格は大きなプラス要素。悩んだ末に4位となりましたが、低音のタッチが筆者好みなので、個人的には1~2を争うお気に入りモデルです。

Fidelio S2

フィリップス Fidelio S2

 


■フィリップス Fidelio S2
【主要諸元】
型式:セミオープン型、ドライバ:13.5mm、出力音圧レベル:107dB/mW、再生周波数帯域:15Hz~24,000Hz、最大入力:40mW、インピーダンス:22Ω、質量:23g、ケーブル長:約120cm

実勢価格:1万2500円

第3位
デザインもサウンドも上品。大人好みの洒落たアクセサリー
ラディウス ドブルベ ヌメロドゥ HP-TWF22

HP-TWF22

美しいデザインの「ドブルベ ヌメロドゥ HP-TWF22」

お次はラディウスの「ドブルベ ヌメロドゥ HP-TWF22」です。昨年12月末の発売になりますが、今年上半期モデルとしてピックアップしました。

旧モデルにあたるHP-TWF21は、その洒落たデザインとバランスのいい音作りで人気を集めましたが、本機では新たに、糸を編み込んだような風合いの新ケーブルを採用しました。このケーブルの肌触りがなかなか心地よく、また汗をかく季節でもベタ付かず快適です。

また、ノワール(ブラック)に加え、ペルル・ブラン(パールホワイト)、ルージュ(レッド)の2色が設定されました。どの色も絶妙の上品さで、まるで宝石のような深く美しい輝きにうっとりです。デザインや仕上げは今回最優秀ではないでしょうか。

本機の特徴は「DDM方式」と呼ばれるドライバーにあります。中低音用のダイヤフラムと高音用のダイヤフラムを持ち、それぞれのユニットに適した周波数の音を再生させる2ウェイ方式なのですが、2つのドライバーは別個に配置されていません。食事のあとに大皿と小皿を2枚重ねておくような形で、2つのドライバーを一体化させ、ダイヤフラムを同軸上に配しているのです。

この方式は、中低音と高音が同じ位置から放射されるため音のまとまりがよく、スピーカーでは古くから数多く採用されてきました。またハウジング内のスペース効率という面でもメリットがあります。本機もその例に漏れず、ハウジング内やドライバー内の空間を巧くチューニングすることで、音のクオリティを高めています。

サウンドは、どちらかというと中音に力点が置かれ、高音は出しゃばることなく艶と煌めきを演出。ダイナミック型ドライバらしい深みのある中低音は安っぽさをまったく感じさせず、ボーカルの表情もしっかり伝わります。低音の量自体は、昨今の低音重視イヤホンと比べれば分厚くはないものの、リズムや音程がしっかり感じ取れて音が混濁しません。対して高音は伸びがよく爽やかですが、ビシビシと切れ込むような鋭さはやや抑えられている印象。とはいえ中高音が曇ったような見晴らしの悪さはなく、音場の広さも文句なしです。どんな音楽ジャンルでもまとまりよく聞かせてくれる、バランスのいい音作りだと感じました。

HP-TWF22

ラディウス ドブルベ ヌメロドゥ HP-TWF22

■ラディウス ドブルベ ヌメロドゥ HP-TWF22
【主要諸元】
型式:密閉型、ドライバ:15mm/7mm DDM方式、出力音圧レベル:107dB/mW、再生周波数帯域:10Hz~20,000Hz、最大入力:20mW、インピーダンス:24Ω、質量:約15g(コード含む)、ケーブル長:約120cm

実勢価格:1万9800円

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