塾の先生への質問のしかた
夏休みもあとわずか。夏が終わる前に、塾の先生に質問しておきましょう。
2学期からはどの学年も算数(数学)、英語を中心に学習内容が一気に難しくなります。学校が始まる前に、以下の3つのことを聞いておくといいでしょう。電話してすぐに回答を求めるのではなく、1回目の電話で聞きたいことを前もって伝えておきます。そして回答を聞ける日時を尋ね、後日改めて聞くようにするのがポイントです。塾側も伝える内容の準備ができ、より具体的な回答を引き出せます。
「うちの子の課題は何でしょうか」
まずはお子さんの課題を聞きましょう。中学受験を考えている小学生なら受験科目の2科(国語・算数)か4科(国語・算数・理科・社会)、中学生なら主要3科(国語・数学・英語)の現在の学力と課題を具体的に教えてもらいましょう。この質問のメリットは2つあります。1つは模試の個人成績表の数値や評価コメントからではわからない、子どもの得手不得手の傾向を知ることができます。例えば、直近の模試の偏差値が50だとします。基本問題ができていて、発展問題ができていないのなら学習方針を変える必要はありません。でも、特定の単元がほとんどできていなかったり、発展問題までけっこうできているのに基本問題をケアレスミスで落としていたりするのなら、勉強する内容や勉強の仕方をひと工夫する必要があります。また、前々回の模試の偏差値が50未満で前回の模試が偏差値50に上がったのか、それとももともと偏差値50台だったのが50ポイントまで下がったのか。それによって学習の方法が変わってきます。
塾の各科目の講師は生徒一人ひとりの学習状況をいちばん具体的に把握しています。あらかじめ質問内容を伝えておいて、後日回答を聞くことを予約しておけば、学年主任の講師か教室長が各科目の講師から学習状況と課題を聞き出して、まとめて伝えてくれるはずです。模試の成績表からだけではわからない、お子さんの実際の学習進捗度合いを知ることができるでしょう。
もう1つ、この質問をするメリットがあります。それはこの質問をすることで、講師達はその生徒の学習状況を改めて確認する点です。講師は何十人もの生徒を担当しています。積極的に講師に話しかけてくる特徴的な生徒、あまり積極的ではないおとなしい生徒では、どうしても印象に差が生まれます。ただ、積極的でない生徒でも保護者からの質問を受けることで、授業の内外で気にかけようという意識を働きやすくさせることができます。我が子に対する講師の意識を促す効果がこの質問にはあるのです。
「志望している○○中学/高校と、うちの子の学力差はどれくらいあるのでしょうか」
次に第一志望と子どもの学力の差を聞いてみてください。あまりに開きがあるようだったら、受験校の変更を検討する必要が出てきます。高すぎる目標は子どものやる気を下げてしまいます。今の時期にお子さんと同じくらいの成績を取っていた去年、一昨年の生徒が最終的にどんな学校に進学したかを聞いておくのも手です。そのレベルの学校をターゲットととして見据え、さらに上を目ざすというのが現実的で賢い方針です。受験を成功させる家庭は、塾から聞き出した内容をもとに、家族で話し合って考えをすりあわせる機会をたびたび作っています。受験が近づいてきてから、親子や夫婦でけんかすることなく、お子さんも落ち着いて勉強に専念できます。
「どのように課題を埋めていく予定でしょうか」
3つめは「今後、塾ではどのようにうちの子の課題を埋めていく予定でしょうか」という質問です。これで冬期講習まで、授業で何をどんなやり方で進めていき、授業外ではどんなフォロー(補習)を我が子にしてくれるのかがはっきりします。質問をすることで、講師自身にどんな予定で課題克服に努めていくかを考えさせ、自覚をしてもらうのです。塾は今まで以上にお子さんの指導に責任感を持ちます。次の模試で各科目の目標点を聞いておくとさらに効果的です。さらに、「家では何をどのように勉強すればいいでしょうか?」ということも聞いておくといいでしょう。これで塾での学習と家庭学習を効率的にリンクさせることができます。授業と家庭学習は車の両輪のようなもので、両方バランスよく機能することで、成績アップにつながります。
学期の始まりなどの節目で具体的な質問を塾にすることで学習状況や目標を、講師と保護者、そしてお子さん本人が共有するようにすると、受験の成功に一歩近づきます。塾をうまく活用して合格を勝ち取ってくださいね。