映画/口コミでおすすめのミュージカル映画(邦画)

歴史に埋もれた異色ミュージカル映画「日本人のへそ」

「日本人のへそ」は70年代の数少ないミュージカル映画であり、ATG作品であり、パワーに満ちたスラップスティック・コメディであります。魅力の一つは普通の男性役の美輪明宏さん。複数の役を繊細かつ技巧的に演じ分けており、特殊な役が多い美輪さんの中では異色で興味深いものです。ストーリーは最後にきて何転もし、かなり意外なエンディング。そこに至る伏線が張られていてラストに向かって効いてきます。

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個性派揃いの俳優たちが怪演!

■作品名
日本人のへそ
■監督
須川栄三
■主演
緑魔子、美輪明宏、なべおさみ、ハナ肇、佐藤蛾次郎
■DVD販売元
ジェネオン エンタテインメント

■あらすじ
吃音患者の治療として、人生の告白劇を集団で患者達自身に演じさせる大学教授。今日の主役は元ストリッパーのヘレン天津。
しかし劇の最中に教授が刺殺され……。

■おすすめの理由
70年代日本のミュージカル映画について作品名がパッと思い浮かぶ方は、映画好きの方も含めほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか?

日本におけるミュージカル映画は戦前から60年代にかけて主に時代劇にミュージカル的要素を組み込み、榎本健一さんや美空ひばりさんの様なスターが主演した作品が数多く制作されました。

しかし70年代になるとこのジャンルは衰退し、歌をモチーフにした歌謡映画として分離していく一方で、純粋なミュージカル映画と言える作品は数える程しか作られなくなりました。

『日本人のへそ』はそんな70年代において数少ないミュージカル映画であり、ATG作品(goo.gl/CzVV)であり、パワーに満ちたスラップスティック・コメディであります。
  • 原作は小説家、劇作家として知られ2010年に亡くなられた井上ひさしさんの才気溢れる初戯曲。
  • 須川栄三監督は本場アメリカでミュージカルを学び、ミュージカルやコメディ(植木等さんの「日本一の男シリーズ」等)の傑作を撮り、後期はハードボイルドもの、文芸もので有名な方。
  • 俳優陣は一癖も二癖もある個性派揃いが怪演。
  • ATGはアート路線から娯楽作品へアングラ色を残しつつ方向転換していた頃。

ということでこれが面白くないわけがない、作品ですがATGの活動停止後映画史の中に埋もれてしまった名作となり、今では知る人ぞ知る的な位置づけにあります。

もう一つの魅力は何と言っても美輪明宏さん。「ヨイトマケの唄」で現在再ブレイク中の美輪さんですが、本作では普通の男性役。

ただし複数の役を繊細かつ技巧的に演じ分けており、特殊な役が圧倒的に多い美輪さんのキャリアの中では異色で興味深いものです。

ストーリーは最後にきて何転もし、かなり意外なエンディングです。そこに至る伏線が張られていてラストに向かって効いてきますが、そこは観てのお楽しみです。

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