硫黄島での海軍特別年少兵の姿を本格的に描いた戦争映画
■作品名海軍特別年少兵
■監督
今井正
■主演
地井武男、佐々木勝彦
■DVD発売元
東宝
数ある激戦地の中で、この硫黄島での戦いほど悲惨なものはありませんでした。岩だらけの島で、周りはアメリカ軍が包囲している戦地でした。
そんな硫黄島にも、3800人もの若い海軍がいました。14歳という信じられないほどに若い彼等は、もう本土へ戻る事すら許されないという戦地へと送られました。食べ物はほとんど無く、細くて小さな体がどんどんと痩せ細っていきます。
肉弾戦で彼等のほとんどが本土よりも遠い地で、殉職をして死んでいく姿を激しく描いています。容赦ないアメリカの海からの攻撃の中、敵に立ち向かう姿が胸を貫きます。天皇を神と仰ぐ軍隊に絶望する彼等の気持ちや、結局中尉や上曹という上の者しか生き残らなかった現実が痛々しく描かれています。
絶対的な力での支配をして訓練をする上曹が多い中で、唯一心が救われたのが、愛ある教育をする中尉の存在でした。実際に存在した人物の存在を交えながら、硫黄島での海軍の生活の内容をも知る事が出来ます。
ほとんど資料に残っていなかった硫黄島での海軍特別年少兵の姿を、本格的に描いた目を背けてはいけない戦争映画です。