自然の猛威に無謀な挑戦をした人間達

■作品名
八甲田山(1977年作品)
■監督
森谷司郎
■主演
高倉健 北大路欣也 三国連太郎 加山雄三ほか
■DVD発売元
特別愛蔵版:M3エンタテインメント、完全版:スバック


70年代はベトナム戦争(1965~1975年)が、映画業界だけでなく世相にまで大きく影響を与えた時代です。洋画は言うまでもありませんが、邦画に絞ると本当におすすめできる映画を選ぶのは本当に悩みます。


旧陸軍の記録的な雪中行軍演習事故、「八甲田山死の彷徨」を完全に映像化した名画邦画。
小説から普通に映画化したのでは普通に凡作になりかねないテーマだが、自然の猛威に無謀な挑戦をした人間達を見事に描ききっている。
時代背景は日露戦争寸前。陸軍の青森と弘前の連隊が、八甲田山で雪中行軍訓練を実施。
完全装備の少数精鋭で挑んだ徳島大尉の弘前第31連隊も苦慮する中、山田少佐は功名心から、神田大尉率いる青森第5連隊に、大人数・軽装・案内なしという無謀を強要。
途中から見ている自分が積雪の山中にいるような錯覚に陥るほどだが、神田隊が文字通りの地獄絵図に陥り全滅していく有様は、観ていて文字通り背筋が凍る。
三国連太郎演じる山田少佐のダメ上司ぶりと、北大路欣也演じる神田大尉の四苦八苦は、上映当時から現在に至るまでのサラリーマン社会とも通じるものがあり、その意味でも背筋が凍る。

ほか、1970年作品として「激動の昭和史・軍閥」があります。加山雄三演じる記者が、特攻を栄誉とする報道機関を非難するシーンは圧巻です。ただし「日本のいちばん長い日」の続編に当たると考えて差し支えないので、そちらを先に観ることをお勧めします。

■参考
1967年 「日本のいちばん長い日」
1969年 「日本海大海戦」(特撮・円谷英二の遺作)
1970年 「トラ・トラ・トラ!」(日米合作の予定であったが、トラブルにより「アメリカ映画」となった)
1980年 「二百三高地」




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