実らない二人の恋を応援したくなってしまう
『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』
■監督山田洋次
■主演
渥美清、浅丘ルリ子、倍賞千恵子、船越英二
■DVD発売元
松竹ホームビデオ
「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」は、男はつらいよシリーズの第15弾目の作品で、脂がのりまくった寅さんの絶頂期です。おすすめの理由は、寅さんとキャバレーで働くリリーの切ない恋模様。チャンスを断る寅さんなどです。
寅さんとキャバレーで働くリリーの切ない恋模様
男はつらいよシリーズもすでに15作目。人気シリーズなので寅さんの恋が実ることはないと視聴者はわかっています。けれども、この二人の恋を応援したくなってしまう。この作品の見所はそれです。テキ屋家業で全国を旅している寅さんは、連れの兵頭謙次郎とともに函館の屋台のラーメン屋で、二年ぶりにリリー(浅丘ルリ子)と再会します。二人は再会を分かち合いながら、二年間のことを話します。リリーは鮨屋の亭主と離婚し、もとの歌手に戻っていました。そして、全国のキャバレーを廻っていました。三人はすっかり意気投合して一緒に旅をするのですが、あるとき、寅さんと兵頭が大げんかをしてしまい、旅が終わります。
寅さんが久しぶりに柴又返ってきたところ、リリーがとらやを訪ねてきます。寅さんは嬉しくなり、リリーとすっかり打ち解けていきます。日が経つにつれて、寅さんとリリーは仲の良い夫婦のようになっていきます。
ある日、さくらがリリーに寅さんと結婚するかどうか尋ねると、リリーは承諾します。けれども、寅さんは「冗談だろう」と全く相手にしません。その会話を奥の部屋で聞いていたリリーは「そうよ、冗談よ」と寂しくいってとらやを出て行きました。さくらはすぐに追っていくようにいいますが、寅さんは相手にしませんでした。
追っていたら二人はめでたく結ばれた。もし、ふたりの仲を周囲が見守っていれば、二人は互いの気持ちに正直になれた。好きな者同士が結ばれない切なさが、今作の魅力です。