不条理に満ちた作品
『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』
■監督テリー・ギリアム 、テリー・ジョーンズ
■主演
グレアム・チャップマン、ジョン・クリーズ
■DVD販売元
ユニバーサル インターナショナル
■Blu-ray販売元
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
ジャケットを見ただけでなんだか笑いがこみあげてくるこの映画は、不条理に満ち満ちています。
たとえば「ブラック・ナイツ」とのシーン。
両腕をアーサー王にぶったぎられているのに「まだ終わっちゃないないぜ」なんて向かってくる黒騎士様。切られた時にぷしゅっと飛び出た血もさっさと止まっています。
可愛らしいウサギに牙をむかれ襲われて、円卓の騎士たちが翻弄されて逃げ惑ったり。
おごそかな讃美歌とともに司祭によって持ってきた法王の証。頭をたれて真面目に訓示を聴いたあと、恭しくそれを持ち上げなにをするかと思えば……。実は手りゅう弾でした。
鎖かたびらで身を固騎騎士たちが、テーブルの上でフレンチカンカンを踊るにいたっては……まるでドリフのコントです。
モンティ・パイソンのメンバーの1人であるテリー・ジョーンズが中世の歴史学研究家でもあるそうで、アーサー王伝説を扱った映画の中で、最も時代考証が正しいと言われているこの映画ですが。そんな評価をささげた方々がかわいそうになってくるほどの、ナンセンスギャグのオンパレード。
聖杯伝説やアーサー王と円卓の騎士ものがたりは、英国人にしてみれば神聖にして犯すべからずではないのか。
もし貴方がそうお思いでしたら。この映画を観てください。伝統だからこそ打ち破るロックなイギリス魂すら感じさせる、気の抜けた笑いにみちた映画です。