超高層ビルの火災や偽装建築、今でも通じるテーマの名作
『タワーリング・インフェルノ』 (74)
■監督ジョン・ギラーミン
■主演
スティーブ・マックィーン、ポール・ニューマン
■DVD/Blu-ray発売元
ワーナー・ホーム・ビデオ
サンフランシスコに138階建ての超高層ビル、グラスタワーが完成。
その開場披露パーティで何と火災が発生します。
この映画には、2つの原作があり、20世紀フォックスとワーナーが共同制作し、当時の2大スターのスティーブ・マックィーンとポール・ニューマンが共演。
撮影はフレッド・コーネカンプとジョセフ・バイロックという名カメラマンが担当しました。
この2尽くしだけでも、この映画がどれほどの大作だったのかがうかがい知れると思います。
見せ場の連続でパニック映画の頂点を極めたこの映画のプロデューサーは、『ポセイドン・アドベンチャー』(73)のアーウィン・アレン。
本作ではアクション部門の監督も兼任し、その力技を遺憾なく発揮しています。
建築技師に扮したニューマンが乗るヘリコプターをバックにジョン・ウィリアムスのテーマ曲が流れるオープニングを見るだけですでにワクワクしてきます。
そして登場人物の紹介、火災の発生と、すべての要素が出揃ったところで消防隊長のマックィーンが登場。
ハードなマックィーンとソフトなニューマンという対象的な大スターの“競演”が楽しめます。
この2人を中心に、踊らなくても粋なフレッド・アステア、いい奴O・J・シンプソン、ひとり憎まれ役のリチャード・チェンバレン……と、オールスターキャストが織り成す人間模様も見もの。
ただのスターの顔見世映画に終わらせなかった監督ジョン・ギラーミンの手腕はもっと評価されてもいいと思います。
CGにはない手作りの味わいを持ったL・B・アボットの特撮も見事です。
超高層ビルの火災、偽装建築などは、悲しいかな今でも十分に通じるテーマ。
ロサンゼルスの高層ビルを舞台にした『ダイ・ハード』(88)にも大きな影響を与えています。