これぞ男のロマン? 「ゲッタウェイ」
わたしが生まれたのは1976年ですから、1972年制作、日本公開は1973年のこの映画映画館では観ていません。それどころか、観たのはつい最近です。個人的に、荒けずりの男くさ~い男を演じさせたら右に出るものはないと思っている、スティーブ・マックイーンが銀行強盗にふんするこの映画をなぜ長らく観なかったかと言えば、まわり中が絶賛していたからです。
そろって映画好きの両親にはじまり、大学の先輩や教授、会社の同僚・先輩・上司の皆々様に評論家の故淀川長治氏まで。「カッコイイ」「すごい」という形容詞をつけてこの映画をあげ、お気に入りのシーンについて熱く語るのを聞くたびに、天の邪鬼のわたしは、足が遠のいてしまったのです。
彼らを魅了しているのは、結局それで亡くなってしまったマックィーンの、家のポーチにつっこんだりする、おっそろしいドライビングテクニックでしょうか。
それとも、どこか陰のある美女、アリ・マッグロー扮するキャロルと洋服を着たまま泳ぎながら戯れるシーン? ベッドで札束に埋まりながらキスしあうシーンもありますね。
ノワール作品フリークならば、撃たれてスローモーションで倒れている悪役のシーンにぐっとくるのかもしれませんし、アクション好きなら派手な撃ち合いのシーンですね。
はい。彼らの言う意味はなんとなくわかりました。ちなみにわたしがぐっときたのは、いつも眩しそうに眼を細めているマックィーンの、哀愁ただよう囚人姿です。「大脱走」でもそうですが、なぜか彼の抑圧されている状態に、色気を感じてしまいます。
あなたはどうですか?
■ゲッタウェイ ”The Getaway”
・監督 サム・ペキンパー
・主演 スティーブ・マックイーン