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政府が無形文化財に指定!香港式の厄払い、打小人とは

香港島のショッピングエリア・銅鑼湾(コーズウェイベイ)とコンベンションセンターや政府機関が集まる湾仔(ワンチャイ)。近代的な2つのエリアの境目で、傍らに神棚らしきものを置いたおばちゃんが、靴でなにやらペンペンと叩いている不思議な光景を目撃!これは「打小人(ダーシウヤン)」といういわゆる香港式の厄除けなのだとか。どういった風習なのか、その実体に迫ってみました。

清水 真理子

執筆者:清水 真理子

香港ガイド

橋の下の無形文化財、打小人とは?

打小人

「拝神婆(バイサンポー)」と呼ばれるおばちゃんが「打小人」を行う

「打小人(ダーシウヤン)」とは、香港に伝わる呪術のこと。自分にとって不幸をもたらすと思われる人の名前を人型を描いた紙に書き、「拝神婆(バイサンポー)」と呼ばれるおばちゃんに靴で叩いてもらいます。……そう聞くと、どことなく呪いのわら人形に似ている気がして背筋がゾクっとしてしまいますが、香港の人曰く「呪いをかけて個人を傷めつけるのではなく、自分に不幸をもたらす人を寄りつかせないための厄除けみたいなもの」なのだとか。確かに、誰かを呪う恐ろしいものだったら、そんな目立つ場所で白昼堂々とやりませんよね? 

「打小人」を直訳すると「小人をたたく」という意味。「小人」とは広東語で不幸をもたらす人を指します。香港の古くからの考えでは、人間は不幸をもたらす「小人」と、幸運をもたらす「貴人」に分けられるのだそうです。

現在では、香港政府により無形文化遺産に認定されている「打小人」。最近では、外国人観光客が、カメラや動画で撮影している姿をよく見かけるようになり、すっかり観光スポットのひとつとなっています。

打小人のやりかたとは?

打小人

銅鑼湾と湾仔の間の高架下で行われる「打小人」

「打小人」のやり方は、まず、祀られている神様を拝み、拝神婆(バイサンポー)から渡される紙に避けたい人の名前を書きます。この紙は男性用と女性用があり、災いをもたらす人の性別によって使い分けます。名前を書いたら拝神婆(バイサンポー)が紙をブロックの上に置き靴でバンバン叩きます。紙がボロボロになったら燃やして終了です。料金は50香港ドル程度で、意外にも依頼人は老若男女問わず幅広く見かけました。

 

橋の下・三叉路で行うのが理想的

香港で最も有名な「打小人」の場所は、銅鑼湾(コーズウェイベイ)と湾仔(ワンチャイ)の間、鵝頸橋という名の高架下。トラムの「Canal Road West」駅下車すぐの場所です。なぜこんな場所で行うのかといえば、「打小人」は橋の下や三叉路、山辺で行うというのが決まりで、鵝頸橋は橋の下である上に、三叉路もまたぐのでとりわけ「打小人」に理想的なのだとか。

ちなみに、以前、私が銅鑼湾(コーズウェイベイ)に住んでいたとき、かなりの頻度でこの「打小人」を目撃しましたが、営業日も時間も不定期なので必ずしもいつでも見られるわけではありません。確実に見られるのは、陽暦の3月6日頃に当たる「啓蟄(けいちつ)」の日と、旧暦の2月2日、2月23日、毎月の十二直(歴注のひとつ)で数える「収」、「除」、「破」の日です。これらの日には、通常1~3人の拝神婆(バイサンポー)が10人くらいに増え、依頼者がどっと押し寄せます。訪れるなら、その日を狙って行くといいでしょう。


<DATA>
■打小人
アクセス:トラム「Canal Road West」駅下車すぐ。もしくは、:MTR銅鑼湾(コーズウェイベイ)A出口から徒歩約3分。時代広場(タイムズ・スクエア)前の道・羅素街を西へ向かったところの高架下
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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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