ひんやり冷たい冷や汁は、夏のごちそう
ひんやりした冷や汁は、夏の滋養食です。
冷や汁は、魚や(古くは鳥肉も)、味噌や豆腐、すりごま、野菜などを使った冷たい汁物で、宮崎県や埼玉県など郷土料理として知られています。他の地域でも同様の料理が見られ、ごはんにかける食べ方の他に、うどんの「つけ汁」として使う「冷や汁うどん」も、近年ご当地グルメメニューなどで人気です。
「冷や汁」は、冷たいからおいしく食べられる、というだけでなく、たんぱく質がしっかり入った滋養食。アジやタイなどをすりつぶして入れ、味噌、豆腐、ごまなどが使われています。また味噌や豆腐などの大豆、ごまは、代謝に必要なビタミンB群や、ミネラルなども含んでいます。
季節の野菜を合わせ、エネルギー源となる糖質のごはんにかけていただくと、1食でもいろいろな栄養素が摂れ、また運動などで汗をたっぷりかいた時には、水分補給とともに塩分も摂れます(もちろん食べ過ぎは注意)。
美肌に役立つ働きが明らかになった味噌の成分
味噌は、古くからの養生食。味噌成分には、肌のセラミドを増加させる作用が考えられます。
近年味噌の栄養成分については、様々な機能性があることが明らかになってきていますが、最近「皮膚を潤す」についての研究報告が発表されました。
マルコメ株式会社のニュースリリース(7月)によりますと、東京工科大学との共同研究行い、味噌を毎日摂取することによって肌の保湿状態が良くなり、肌のキメも整うなど、美肌効果があること、またそのメカニズムの一端に、味噌に含まれる成分による角層のセラミド増加作用が示唆されました(第67回日本栄養・食糧学会大会において発表)。
この研究では、 20~30代の女性を対象(14人)に、味噌を抜いた汁と味噌汁をそれぞれ1日3杯摂取してもらい、頬の角層水分量、キメなどを測定した結果、 味噌汁を2週間継続して飲んだ人では、頬の潤いが増加し、肌のキメが改善しました。さらに本人の肌状態の実感では、味噌汁を飲むことによって「化粧のり」 が良くなる傾向も見られたということでした。
またこのメカニズムを解明するため味噌抽出物の影響を調べたところ、味噌抽出物によって角層のセラミド合成にかかわる酵素のmRNA発現レベルが増え、その酵素活性が増加することが考えられました。
セラミドは、皮膚表面に近い角層で、肌の水分を保つバリアの役割を担っています。紫外線が強くなり肌のセラミドが減少しやすい時期には、和食の基本アイテムである味噌汁を飲むことが、お肌を守るサポーターとして役立ちそうです。
詳しくは、マルコメ株式会社のリリースをご覧ください。
今回冷や汁をご紹介するにあたり、マルコメ株式会社に問い合わせしたところ、冷たい状態でも、味噌成分による酵素活性作用は影響ないだろうという回答をいただきました。(※味噌抽出物は、味噌汁ではないので、誤解のないようにしてください。)