再生不良性貧血の診断・検査法
これらの細胞が少ない時に再生不良性貧血と診断されます
- 赤血球の指標であるヘモグロビン濃度…10.0g/dl未満
- 白血球の指標である好中球…1,500/μl未満
- 血小板の数…100,,000/μl未満
骨髄の検査では、細胞の数が少なく、白血球、赤血球、血小板の元になる細胞が減少しています。
先天性の場合は、遺伝子検査や染色体検査を行い、異常があることがあります。
赤血球になる前の細胞である網赤血球、白血球の一種で感染症に抵抗性を示す好中球、血小板の数で、重症度を決めています。
■中等症
以下の2項目以上を満たす
- 網赤血球 60,000/μl未満
- 好中球 1,000/μl未満
- 血小板 50,000/μl未満
■重症
以下の2項目以上を満たす
- 網赤血球 20,000/μl未満
- 好中球 500/μl未満
- 血小板 20,000/μl未満
■最重症
好中球 200/μl未満に加えて、以下の1項目以上を満たす
- 網赤血球 20,000/μl未満
- 血小板 20,000/μl未満
再生不良性貧血の治療
骨髄移植の1つの治療方法です。
■原因療法
後天性の続発性の場合は、原因を除くことが大切です。薬剤の中止、化学物質や放射被曝から回避します。ただし、既に、造血幹細胞が限りなく少ない場合は、中止しても回復しない場合も多いです。また、多くの再生不良性貧血が原因不明です。
■支持療法
既に症状が出ている場合は、補充することになります。貧血なら輸血、血小板減少なら血小板輸血、白血球に対しては、白血球の成長因子であるG-CSF、M-CSFと呼ばれるタンパク質を投与します。
■アンドロゲン療法
再生不良性貧血が軽度であれば、効果が出てくるのに数か月かかりますが、アンドロゲンという男性ホルモンで治療効果があることがあります。
■免疫抑制療法
造血幹細胞が免疫の異常で破壊されている可能性があるために、免疫抑制する治療が行われます。これは、発症から治療開始まで時間が短いほど効果が高いと言われています。ステロイドを大量に投与するパルス療法が使用されます。リンパ球だけを抑制する抗リンパ球グロブリンまたは抗胸腺細胞抗体を使用します。胸腺はT細胞が分化する臓器です。この製剤は、ウマの血清から得られるもので、副作用として、発熱、発疹、アナフィラキシーがあります。
シクロスポリンという免疫抑制薬も使用されます。
40歳以上の患者では移植後の生存率が低いため、免疫抑制療法が第一選択になります。約70%の患者が改善し輸血が不要となります。一方、40歳以下または子どもの場合は、ドナーがいれば骨髄移植、ドナーがいない場合は免疫抑制療法が行われます。
■骨髄移植
重症の場合、適合ドナーがいれば骨髄移植が効果的です。骨髄移植を行った場合、造血機能の回復は非常に良好で、移植後3ヵ月以内に回復します。再発も少ないので、子どもでは考慮すべき治療と言えます。一方、移植に伴う危険性もありますので、個々で判断されます。