投資信託/J-REIT(Jリート)とは?最新情報

利回り投資の妙味が出てきたJ-REIT

国土交通省が7月31日に発表した2013年上期(1月~6月)の新設住宅着工件数は、前年同期比8.6%増の45万1053戸でした。住宅価格や住宅ローンの先高観が背景にあるようですが、同日東証REIT指数は約1ヵ月ぶりの安値1312.77(終値)で引けました。投資妙味がなくなってしまったのか検証してみましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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2006年以来の7年ぶりの大資金調達

J-REITの今後を考えてみる

J-REITの今後を考えてみる

デフレ脱却を掲げる政府と日本銀行の異次元緩和を背景に堅調に推移してきたREIT(不動産投資信託)市場は、再び低迷を余儀なくされる展開となりつつあります。

年初から3月27日までに東証REIT指数は約52%もの急騰を演じた後、株式に先行して調整しました。6月中旬には底打ちしましたが、約13.3%の上昇に留まり再調整となったわけです。

外国人投資家による持高調整の売り、参議院選を経て買い一巡感が強まったなどの意見がありますが、筆者は需給悪化懸念も大きいと思われます。

2012年もJ-REITの新規上場は4資法人ありましたが、2013年の半年で4社という上場ラッシュは2006年以来7年ぶりの出来事です。 また増資を行った投資法人も複数あるため、資金調達ラッシュが響いたのではないかと考えています。

REITが新規物件を取得するためには、増資による資金調達を行う必要があるため致し方ない面はありますが、景況観は回復しているとはいえ2006年よりも良くはありません。7年ぶりを考えれば、投資家の期待先行が強すぎた面があったと思われます。

REIT市場の下支え役と期待されている日本銀行の買い入れ枠も、7月31日までに1390億円を消化したことから、2013年末までの残りは10億円、2014年末まででも310億円しかないことも投資家が懸念を持った材料と言えるかもしれません。

分配金の平均利回りは4%超え

増資などによる需給悪は短期的にはネガティブな要因ですが、将来の収益を確保するために積極的に投資物件を取得していると考えれば中・長期的にはプラス要因と考えてよいでしょう。

株式市場もやや不安定な動きをしていることから、これからのREIT市場はどうなるのか?が気になるところですが、利回りという側面からは投資妙味が出てきたと思われます。REIT全体の平均利回りは4.03%ですが、東京証券取引所第1部に上場する株式の平均利回りは単純平均で1.72%、加重平均で1.87%であることから、平均利回りでも2倍以上もあるのです(2013年7月31日現在)。

長期金利の上昇はREITに取ってのネガティブ要因となりますが、6月以降は0.8%前後で落ち着いています。0.8%という水準は、年初から4月にかけてより高いのは事実ですが、東証REIT指数が過去最高値を付けた2007年6月~7月頃の長期金利は1.5%を超えていたのです。つまり、高いという水準ではないということができます。

7月31日で比較すると、REITの利回り4.03%-長期金利0.795%=3.235%も利回り差があることになります。機関投資家などは、長期金利とREITの利回り差が3%を超えてくるとREITへの投資を考えると言われていることから、後はきっかけ待ちといえるかもしれません。

東証REIT指数が史上最高値を付けた2007年との一番の違いは景況観にあると思われます。なぜなら、日本銀行は2006年にゼロ金利政策の解除を行い、その後政策金利を0.5%まで引き上げ、さらに0.75%まで引き上げようという動きがあったくらいなのです。

ちなみに、日経平均株価は2007年6月5日に1万8000円台を回復したのです。アベノミクスにより順調に景気が回復していることを考えれば、REIT市場に再び投資資金の流入があってもおかしくはないと思われます。要は景気次第といえそうです。

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