気がつくと、車中は辺り一面「IKEAの黄色」
関東近郊から出張帰りの電車の中。「あっ、このソファ!」……気になるが、いったんは、スルーして吊り輪に手を伸ばし、電車の揺れに身を任せたが、やはり気になる。
で、もう一度そのソファの前に。
周囲の目が気になるが、そんなのお構いなしにソファに食い入る。
太文字のキャッチコピーが、僕をうばう!
『発注ミスから生まれた、名作ソファ。 TAJT/タイト 1973年』
説明文に目を移すと、「デザイナーギルス・ルンドグレンは、誤って大量購入してしまったデニム生地を大胆にもソファに転用。そんな偶然から生まれたTAJT/タイトは、瞬く間に当時の大ヒット商品に。どんなハプニングも、柔軟なアイデアと遊び心で、デザインに昇華してしまう。」
これは、フロアー(床)ライフが流行り始めた頃のソファスタイルのひとつ。
大きな円筒形のクッションが前後に動き、「座る」ソファから「寝転ぶ」シートソファへと仕様を変えられる。1973年当時の商品開発エピソードにも、思わず頬がゆるむ。
それにしても、モデルのヘヤースタイルやファッションなど時代的な画像がシブイ!
気がつくと、車中は辺り一面「IKEAの黄色」。ソファや椅子、テーブルなどのファニチャー画像に車中が包まれているのだ。
時々見かける1ブランドによる全車両借り切り車内広告。
興味のないジャンルだと気にも留めないが、そこはファニチャーイスト(筆者の造語:ファニチャー大好き人)の性(さが)……見慣れた「IKEA/イケア」じゃぁ、フムフム状態に陥ってしまうのサ。
他の表示もガゼン、気になり始めた。
北欧のモチーフ、そしてイケア初の日本人デザイナー
『組み立て家具の歴史は、LOVETから。 LOVET/ローヴェット(1956~/2014~)』説明文は、「テーブルの脚を外せば、車に積めて配送時のキズも防げる」。そんな一瞬のひらめきから、イケアの組み立て家具の歴史が始まりました。その原点となったテーブルLOVET/ローヴェットは、「LOVBACKEN/ロヴバッケン」と名前を変えて、再び今年からイケアストアで販売。どこか懐かしさを感じる葉っぱ型のデザインテーブルは、時を超えて、現代の人々の心もやさしくほぐしてくれそうです。」とある。
ミッドセンチュリーデザインには同様の有機的形状が多用されたが、愛嬌のある木の葉のカタチと素材使い、いかにも北欧らしいモチーフのテーブルだ。
さて、お次は、
『世界中の背中を支える、日本人のデザイン。 POANG/ポエング(1976~)』
「NACKA(ナッカ)のニックネームで親しまれていた中村昇さんは、イケア初の日本人デザイナーとして多くの家具を手がけてきました。中でも、「揺りかご」をコンセプトに作られたこのPOANG/ポエングは、大柄のスウェーデン人の背中にも、小柄な日本人の背中にもフィットする抜群の座り心地。今なお、愛されつづけるロングセラーアイテムです。」と解説している。
この椅子は、【石川尚の気になるデザイン】IKEAの超ロングセラー椅子でご紹介した名作椅子。
日本人デザイナー:中村昇さんによるもの。
オットマン(脚置き)と組み合わせての側面からとらえた椅子画像は、座り心地の良さを伝えている。