集合住宅に豊かな暮らしを取り戻すリノベーションプロジェクト「RENOVETTA」
日本屈指のデザイナー喜多俊之氏。公益社団法人日本インテリアデザイナー協会理事長でもある。
喜多氏はそこに問題があると指摘、間取りによって制限された暮らしではなく、もっと気軽に人が集まり、花を飾り、音楽や食事を楽しむ、人が本当に豊かに暮らせる開放的で新しい暮らしができるよう、集合住宅のリノベーションプロジェクト「RENOVETTA」を立ち上げました。
先日行われた公益社団法人日本インテリアデザイナー協会の交流会で喜多氏とお会いした時に伺ったのは、喜多氏が活動の原点としているイタリアではもっと暮らしを楽しんでいる、日本でもそんな風にもっと豊かな暮らしができることを伝えていきたい、その最初の試みが「RENOVETTA」であるというお話でした。
インテリアデザイナーが生み出す、今までとは違う新しいリフォームの形
リフォームやリノベーションと言うと、大工さんが壁を作って内装を仕上げて、その中に家具を設置するという流れが一般的ですが、このRENOVETTAプロジェクトは今までとは違う新しいリフォームの形をしています。喜多氏が得意とする「障子結界庵」は移動可能。茶席やひな祭りなどの伝統行事以外に、寝室や介護の部屋としても使える。
RENOVETTAでは、まずは既存の間取りを全て取り払ってスケルトンにし、その後は壁を作るのではなく、家具を設置していくことで空間を作り出していきます。そしてその空間は、今の家族のカタチやシーンにあわせてフレキシブルに変化させることができます。
例えば、喜多氏が得意とする「障子結界庵」は、3畳程の4面障子の和室空間ですが、これは家具を造作する手法で作られているので、移動が可能です。障子結界庵は、茶席やひな祭りなどの伝統行事の演出をしたり、寝室として使ったり、生活スタイルの変化で介護部屋としても使えます。
また廊下やリビングドアはありません。子ども部屋や寝室の間仕切りは引き戸構成になっているので、いつでも開放して大きな空間になります。
実際に見て驚くのが、その細部の納まりの美しさです。空間を家具で構成していくという発想は、デザイナーならでは。その繊細さ、陰影の美しさは、さすが世界の喜多氏が手掛けたものと驚嘆させられます。
では次のページで、実際に新宿OZONEで展示している70平方メートルのマンションのRENOVETTAプロジェクト原寸モデル展示の様子をご紹介します。