築100年の古民家リフォームのビフォーアフターを画像で紹介
築100年以上の古民家がリフォームで大変身した様子を、ビフォー~工事中~完成まで画像を交えてご紹介します。古い家にありがちな冬に寒い、家の中が暗いという悩みを断熱リフォームやガラス瓦などを使い、快適でおしゃれな住まいへと大変身させました。もちろん耐震性能も大幅に向上。スイス漆喰など自然素材の使い方も見どころです。<目次>
- 建替えではなく古民家リフォームで再生を決意
- 構造の強化で耐震性能を向上、耐震リフォームの相場費用
- 古い家は寒い!徹底的な断熱リフォームを実施
- 古い家は暗い!ガラス瓦で自然光を取りこむ工夫
- 古民家リフォーム、ビフォーアフター間取り
- アフター画像紹介、おしゃれな和モダンインテリアへ
- 古民家+最新設備、新旧が溶け合う快適で美しい住まい
建替えではなく古民家リフォームで再生を決意
千葉県にあるこの古民家は、築100年以上の農家作りの家でした。古くて歴史ある素晴らしい家ではあるのですが、住みやすさということを考えると、たくさんの問題点がありました。和室が中心の間取りは、それぞれが襖や障子で仕切られているため個室として使いにくく、広々とはしているのですが、冬になるととても寒い状況にありました。キッチンなどの設備はかなり古く傷んでいて、また家の中のあちこちに段差があるため危険な状態でもありました。
周囲からは建替えを勧められていたのですが、長年家族が暮らし続けてきた愛着ある家屋です。熟考の末、今の家を生かして、リフォームで暮らしやすい家に生まれ変わらせることを決意しました。
プランニングに掛かった時間は4ヶ月。古い家の弱点である耐震性能、断熱性能、バリアフリー性能を向上、間取りも今の生活スタイルにあわせて見直し、着工してから完成まで工事期間6ヶ月を掛け、素晴らしい古民家リフォームが完成しました。
構造の強化で耐震性能を向上、耐震リフォームの相場費用
この古民家は、以前より揚家(基礎などの補強を行うために家を持ち上げること)や基礎の補強、屋根を藁葺きから瓦葺きにするなど、ていねいなメンテナンスを行っていました。おかげで水平もシッカリとれていて、構造部分の腐食も少なくとても良好な状態にありました。リフォーム工事の内容と費用は、元の家の状態によって大きく変わります。我が家に長く快適に、そして費用面でも効率よく住み続けるためにキーワードとなるのが、住宅の長寿命化です。
住宅の長寿命化とは、適宜にお手入れや性能向上を行い、長寿命の製品や工事方法を採用することで、快適に暮らしつつ家を安く長持ちさせることを言います。そのためには、家の骨組みとなる構造部分-スケルトンをメンテナンスで長持ちさせつつ、暮らしを支える家の内部の設備や間取り部分-インフィルを住む人にあわせて柔軟に変化させていくという考え方が必要になります。
今回の古民家リフォームでも、これからもずっと長く住み続けることを考慮し、まずは構造部分-スケルトンの強化、基礎や接続部の補強を行い、耐震性能の向上を行いました。
耐震リフォームには様々な方法がありますが、最低でも1981年で大きく変わった新しい耐震基準に引き上げることが必須となり、木造住宅の場合は2000年にも仕様が追加されているので、その仕様に沿って補強しておくことが肝心です。
掛かる費用の相場は元の状況にもよりますが、一般的な住宅の場合、1981年より前の基準で建てられた家を、現在の建築基準法に定められた性能に向上させるためには150万円~200万円ほどを見ておく必要があります。もちろんこれは家の規模によって異なりますので、まずは耐震診断をしてもらうといいでしょう。
古い家は寒い!徹底的な断熱リフォームを実施
古民家の弱点、耐震の次は断熱性能です。古い家に住んでいる方々が口を揃えて言うセリフは、昔の家はしっかり作られているけれど、冬に寒い!というもの。そこで、今回の古民家リフォームでは、窓は空気層が12ミリある複層ガラスの入ったサッシに交換、床、壁、天井などの各所には徹底的な断熱リフォームを行い、加えて床暖房の設置も行うなど、断熱性能向上のリフォームに力を入れました。全く断熱材が入ってない家を、次世代省エネ基準と呼ばれる快適性の目安となるレベル程度に引き上げるための断熱リフォームの費用の相場は、30坪で300万円~程です。ただしただ断熱材を入れるだけでは、内部結露の原因になることがあるため、通気を取るなどしっかりとした対策と技術が必要です。
いくら見た目が美しくても、冬寒くて光熱費が掛かる住まいは良い家とは言えません。快適で光熱費が安い家にする断熱性能の向上は、古い家には必須のリフォームと言えるでしょう。
古い家は暗い!ガラス瓦で自然光を取りこむ工夫
さて古民家の意外な悩みと言えば、暗いというものがあります。軒が深く、奥行きが深い間取りのため、家の中が薄暗いと感じる人が多いためです。そこでトップライトを取り付け、屋根から自然光を取り入れて、明るさを確保する工夫を行いました。トップライトに使ったのがガラス瓦です。ガラス瓦とは名前の通りガラスでできた瓦で、光を通し、家の中を明るくする効果があります。上の写真は、ガラス瓦が葺かれた様子と、中からそれを見上げた時の様子です。このトップライトはダイニングの上部に設けられ、薄暗かった食堂に自然光が差し込んで、とても明るい空間に変わりました。
古民家リフォーム、ビフォーアフター間取り
さてこちらの古民家では、構造部分-スケルトンの強化に加えて、家の内部-インフィル部分も刷新しています。その際は、できるだけ既存の柱を生かしたまま、現代の暮らしにあわせた間取りや設備へと変更を行いました。さてそれでは家の中はどのように変わったのでしょうか。古民家リフォームのビフォア・アフターの間取りをご紹介します。
リフォーム前は、古民家ならではの和室がつながった間取りです。リフォーム後はキッチンを家の中心へ移動、炊事や洗濯がしやすいよう、家事動線もよく考えられています。元の間取りを上手に活かしつつ、現代の生活スタイルに合わせた暮らしやすい間取りに変わっています。
では古民家リフォームのアフターの画像、和モダンなインテリア、ガラスブロックや最新のシステムキッチンなど、古民家+最新の設備が溶け合う美しい住まいの様子をご紹介しましょう。
アフター画像紹介、おしゃれな和モダンインテリアへ
インテリアは、和の雰囲気はそのままに、しかし和風にこだわり過ぎることなく、おしゃれな和モダンインテリアでまとめています。白い壁面は天然スイス漆喰を使用。化学合成の材料を一切使っておらず、調湿・消臭・ダニ、カビを防ぐ効果があるので、室内を快適に保ってくれます。古民家+最新設備、新旧が溶け合う快適で美しい住まい
下の写真は、新しいリビングからダイニングキッチンを見た様子です。天井は杉の板張りで、自然の色の変化を楽しめるように、無塗装品が使われています。将来的には天井杉板が濃く染まり、また美しい色合いを見せてくれることでしょう。奥に見えるガラスブロックで囲まれた部分がキッチンです。このガラスブロックの中には照明器具が埋め込まれていて、ダイニングやリビングの間接照明として雰囲気を盛り上げています。新しく入れたキッチンは国産ハイエンドブランドのトーヨーキッチンでオールステンレス製。古民家+最新の設備が美しく調和したリフォームです。
古民家リフォームは元の状況がどの程度かによって費用が大きく異なります。まずは今の状況を調査し、どんなことができて費用がどの程度かかるのか、見積もりを出してもらうところから始めましょう。最近ではリフォームの技術が進化し、建替えなくても理想の住まいが作れる時代になっています。その際は性能向上リフォームを忘れずに行うことで、快適な住まいによみがえります。
※設計施工:株式会社ウッディホーム 担当:小泉氏
建て替えかリフォームかで悩んだら、目先の費用で比較するのはNGです。それぞれのメリット・デメリットを下記にご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
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