耐震リフォーム/耐震リフォームのポイント

耐震リフォーム工事で知っておきたい3つのポイント

耐震リフォーム工事を行なう際の注意点をご紹介します。地震への不安につけこんだ、詐欺まがいの工事も耳にします。どんな家に耐震改修工事が必要か、どこで見てもらえばいいのか、自分でできる簡易診断方法もご紹介します。

尾間 紫/Yuu

執筆者:尾間 紫/Yuu

リフォームガイド

耐震リフォームで知っておきたい3つのポイントをご紹介します。大地震が起きると詐欺まがいのセールス業者も現れます。点検や耐震改修工事が必要な家の見分け方や依頼先の見つけ方、自分でできる簡易診断ツールもご紹介します。

地震への不安につけこんだ詐欺まがいの売り込みに引っかからない
〈耐震リフォーム工事のポイント1〉

契約の押印

命にかかわることだからこそ、引っかかりやすいので注意が必要。あわてて契約するのは厳禁。

大地震が発生すると、詐欺まがいの耐震リフォーム工事のセールスが現れます。よくある手口は、いきなり訪問、正しい耐震診断もせずにこの家がいかに危険かを専門用語を使って不安をあおり、すぐに工事を行なってしまうという手法です。

このようなセールス方法は不安商法と呼ばれ、やたらに契約を急がせ、考える時間を与えないという特徴があります。中には、お願いしますと言った翌日に工事を始められ、考える余裕が全く無かったというケースもありました。

ガイドYuuが実際に遭遇した悪質な耐震リフォーム工事には、以下のようなものがあります。300万円以上する高額な工事だったにもかかわらず、あまり効果が無く、前より悪くなっていた家もありました。

● ほとんど効果が無い金物を、床下と屋根裏に大量に取り付けられていた
● 基礎の補強を行っていたが、通風口を塞ぎ床下換気ができなくなっていた
● 壁の補強が偏っていて、却ってねじれやすくなっていた

命にかかわることだからこそ、不安な気持ちに付け込まれやすいので注意が必要です。このような商法に引っかからないためにも、まずは、我が家の耐震性能を正しく理解しておくところから始めましょう。

 

鍵は1981年と2000年、我が家の築年数を確認して診断を受ける
〈耐震リフォーム工事のポイント2〉

点検

建てられた時期によって耐震性能は異なる。ただし家が健康な場合に限り。定期点検を忘れずに。

家は建てられた時期によって耐震性能が異なります。その境目になるのが、1981年と2000年です。

1981年に建築基準法が改正され、新しい耐震基準が定められました。その基準を新耐震基準と呼び、それまでの旧耐震基準とは地震への強さが大きく異なります。

新耐震基準の目安は、震度5程度で損傷しない、震度6~7程度の大地震で倒壊しないことであり、それまでの旧耐震基準の震度5程度で倒壊しないことと比べると、かなりの差があることがわかります。

その後、2000年も基準法の改正があり、木造住宅の柱の接合金物の仕様などに関して、更に規定が加えられました。

つまり、1981年より前に建てられた家は、できるだけ早い時期に、新耐震基準に沿うよう、耐震リフォーム工事を行うことが大切です。

また1981年以降に立てられた住宅であっても、2000年以前に建てられた木造住宅の場合は、新耐震基準は満たしていても最新の性能は満たしていない可能性がありますので、耐震診断を受けておくことをお勧めします。

ただしこれらはあくまでも確認申請ベースですので、1982年に建てられたものであっても、1981年5月までに建築確認がおりていれば、旧耐震基準で建てられている可能性があります。

まずは築年数を確認し、それから点検や耐震診断を受けるという流れを踏んで、我が家の性能を確認しておきましょう。

そして大切なことは、これらはすべて家が健康な場合に限りという条件付きだということです。シロアリの被害や漏水などで構造部分が腐食していると、耐震性能はダウンします。2000年以降に建てられた家であっても、定期点検を忘れずに行っておきましょう。

 

正しく耐震診断を受けてから計画を、自分でできるチェックテストも
〈耐震リフォーム工事のポイント3〉

耐震診断を受ける場合は、お住まいの自治体や各種団体に相談窓口がありますので、まずはそこを利用するといいでしょう。

例えば横浜市では、1981年5月31日以前に建築確認を得て着工した家で、一定の基準にある木造住宅(在来工法に限る)の耐震診断を無料で行なっています。またこの耐震診断結果を元に耐震リフォーム工事をした場合は、「工事費用の一部補助制度」が利用できます。詳細は地域によって異なりますので、お住まいの自治体へ問い合わせてみて下さい。

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)では、1950年~2000年5月までの間に着工された家で、一定の条件に該当する木造住宅(在来工法に限る)に対して、無料で耐震診断を行なっています。ただし大阪府に関しては自治体からの要請で5000円の有償となります。

自分で簡単な耐震診断ができる、チェックテストもあります。国土交通省が監修し、日本建築防災協会が編集した診断ソフトで、下記のリンクから診断ができます。リーフレットもあります。ただし、簡易診断の結果は参考にとどめ、専門家による正しい診断を受けてから耐震リフォーム工事の計画を立てることが大切です。

耐震診断

インターネットでできる「誰でもできるわが家の耐震診断」問題は10問。築年数や間取り、構造などに答えたあと診断結果が表示される。


耐震リフォーム工事の方法には、基礎の補強、筋交いや構造用合板での壁の補強、壁量を増やす、屋根を軽くする、接合金物を正しく取り付けるなどの方法があります。また耐震性能を正しく維持するためには、補強だけでなく、シロアリなどによる腐食や劣化を補修する工事も計画に入れておく必要があります。

前出の木耐協によると、耐震リフォーム工事の80%~90%が内壁側からの壁補強であり、日本建築防災協会によると費用は100万円~150万円で行われることが最も多いとしています。

耐震リフォーム工事は、床や壁のリフォームの時に一緒に行なえば、工事がしやすく効率的で、費用を節約できます。まずは不安商法に引っかからないこと、そして正しく診断を受け、我が家に相応しい耐震リフォーム工事を行ないましょう。

オールアバウトが行った防災に関する意識調査結果と、忘れがちなガラスの安全策など、リフォームでできる住まいの災害対策を下記でご紹介していますのであわせてご覧下さい。
災害時に現れる悪徳リフォーム業者のよくある手口は下記でご紹介しています。
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