競馬/一頭追っかけシリーズ

追っかけシリーズ第1回 ~競走馬になるまで~(2ページ目)

競馬の醍醐味は、1頭の馬をデビューから引退まで追いかけていくこと。その中で見えるサラブレッドの成長や変化を見守ることにこそ、面白さがあります。ということで、このシリーズでは、私が独断で選んだある競走馬を追いかけていきます。今回はその1回目。

河合 力

執筆者:河合 力

競馬ガイド

順風満帆な道のりを歩むシャドウダンサー

シャドウダンサーが生まれたのは、日本競馬の中枢ともいえる大牧場・社台ファーム。小さい頃から牧場スタッフの評価はなかなか高かったようで、「母ダンスインザムードの最高傑作になるのでは?」という声もあるとかないとか。
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武豊騎手になでられ、嬉しそうなダンスインザムード(写真 JRA)

サラブレッドは、セリ市やバイヤーとの直接交渉(庭先取引)を経て、競走馬として引き取る馬主(オーナー)が決まります。シャドウダンサーのオーナーとなったのは飯塚知一氏。庭先取引で決まりました。

飯塚氏の所有馬は、他にダークシャドウやシャドウゲイトなど、馬名の前後に「シャドウ」と入るのがお決まり。ただ、シャドウダンサーという響きには、まったくそういう予定調和な感じがないんですね。ひと言でいうとカッコいい。もう少し詳しくいうと、すごくカッコいい。活躍馬になるにふさわしい名前だと思いませんか。

トップチームがシャドウダンサーを管理することに

馬主が決まった競走馬は、次に所属する「厩舎(きゅうしゃ)」を決めます。厩舎とは本来、馬が過ごす小屋のことですが、競馬においては、調教師をリーダーとする競走馬の管理チームのことを指します。競走馬がどの厩舎に所属するかは、すなわちどの調教師・チームの元で日々のトレーニングを積み、競走生活を送っていくかを意味します。
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トレセンには数多くの競走馬とホースマンが暮らし、レースに向けて調整を行っています。写真は美浦トレセン(写真 JRA)

JRAが所有する、現役競走馬用のトレーニング施設(通称トレセン)は2つ。茨城県の美浦トレセンと、滋賀県の栗東トレセンがそれですね。すべての厩舎はどちらかのトレセンに拠点を置き、その中で所属馬を鍛え上げていくことになります。

そして、シャドウダンサーが所属することになったのは、栗東の名門・角居勝彦厩舎。2007年に、牝馬のウオッカで日本ダービーを制覇するという快挙をやってのけたトップチームです。

シャドウダンサーが角居勝彦厩舎に入ると知った時、私はとにかく喜びました。一人でシャンパンを開けました。名前といい、厩舎といい、ここまでの過程すべてが完璧に見えます。名馬に育つ気がします。

6月初旬、シャドウダンサーは角居勝彦厩舎に到着。この時点で正式に競走馬としてJRAに登録され、いよいよ、デビューへ向けて本格始動となりました。私はワクワクが止まりません。今から初戦が待ち遠しい限りです(といってもまだ先の話ですが……)。

しかし、忘れてはいけないのは、先ほど言ったように、競馬は「1つ勝つのも大変」な厳しい世界であること。期待された馬がまったく輝かずに引退していくケースも多々あります。むしろそちらの方が多いほどです。

しかも、過去に私が期待した馬は、大抵が活躍できずに終わっています。POGという、何人かのメンバーでデビュー前の期待馬をそれぞれ数頭指名し、獲得賞金の合計を競うゲームでも、私は常に最下位争いです。その逆境の中で、シャドウダンサーがどんな走りを見せてくれるのか。たとえ厳しい結果になっても、温かく見守っていこうと思います。

そんなわけで、デビューへと着実に近づきつつあるシャドウダンサー。とはいえ、初レースを迎えるまでには、まだやらなければならないことがあります。ということで次回は、シャドウダンサーのデビュー戦までの道のりを追いかけていきます。

【関連リンク】
JRAウェブサイト|名馬の蹄跡|ダンスインザムード
ホワイトマズル|競走馬のふるさと案内所
Team Sumiiオフィシャルブログ

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