一戸建て売却において、不動産会社はどのように査定を行なっているのでしょうか。

実は一戸建ての査定方法は簡単ではありません。査定をする不動産会社や担当者ごとに算出方法が異なる場合もあります。そのため、査定をする不動産会社や担当者によっては、数千万円も価格差があることもあるのです。

ここでは、売り手として知っておきたいキーワードを交えながら、一戸建てにおける査定価格の算出方法の基本を解説します。

一戸建ての査定は簡単ではない

都心ではマンションが住宅の主流ですが、広々とした一戸建ては魅力があり一戸建てに住みたいという人も多くいます。売りに出される中古の一戸建ての築年数は数年から数十年経過しているものなどさまざまです。

マンションと異なり、同じマンション内の他の部屋がいくらで売りに出されたというチラシを目にすることも無いです。そのため、売り手としていくらで売れるのかをイメージしにくいのです。また注文住宅であれば同じ仕様の一戸建てが他にないということになります。

このように一戸建てはマンションと比較して多様性があるため査定も簡単ではないのです。

中古の一戸建ての査定方法について

では、プロである不動産会社はどのような方法で査定しているのでしょうか。中古の一戸建ての査定方法は会社によって異なりますが、一般的な査定方法について解説します。

査定価格の算出方法として利用するのは主として以下の2つです。

  1. 積算法……土地価格と建物価格を分けて算出する方法です。土地価格と建物価格を合計したものが査定価格となります。
  2. 取引事例比較法……周辺の取引事例と比較した上で算出する方法です。比較した上で算出された価格が査定価格となります。

一戸建ての場合は、一つひとつの土地や建物に個別性があるため、どちらか一方の査定方法で価格を決定すると大きな価格差が生じることがあります。物件の特性によって一方または両方の手法で査定をしていくのです。

それでは、それぞれの算出方法について、詳しく解説していきます。

「積算法」での土地価格の算出方法

「積算法」は土地と建物を切り分けて考えます。特に土地については、土地に接している道路の状況(接道状況)によって土地価格が大きく変化します。例えば、旗竿地(はたざおち)と呼ばれる、道路に接している長さが短く、奥に長い土地の場合は、土地価格(坪単価)が抑え目になります。基本的に2m道路に接していない場合は、建物を建てることができません。
旗竿地

旗竿地(はたざおち)のイメージ


中古の一戸建ての場合は既に建物が建築されているわけですから、2m接していないことはほぼありません。しかし、2m接していれば良いということではありません。自動車を入れることができない状況であればカースペースが確保できないですし、自動車を入れた状態で人が通行できないといこともあり得ます。また、接している道路状況によっては、再建築するとき、セットバックと呼ばれる土地面積を道路として提供しなければいけない場合もあります。この場合は土地の面積が小さくなります。

土地価格を算出する際に、机上査定ではこのような情報について知ることができないため、正確な査定価格を算出することは非常に難しいのです。

「積算法」での建物価格の算出方法

次に建物価格の算出方法です。建物を建てる際には建築費用がかかります。建築費用がどのくらいかかったのか、また建築後経過した年数から減価償却をした上で現在の建物価格を算出します。

建物によっては価格が大きく変わってくるのです。例えば、所有者がこだわりをもって建築した住宅は建築価格が高く、設備などにこだわっていなければ建築価格は抑えられます。この価格差が大きくなるので、建物価格を机上査定で判断することは難しくなります。

このように算出された土地価格と建物価格を合算したものが、「積算法」での査定価格となります。
積算価格の内訳

積算価格の内訳


>次のページでは「取引事例比較法」の算出方法と、査定時の売り手の心得について説明します。