類似の漢字の覚え方 (2) 読み方に注意
(1)では形の似ている漢字を一緒に書くことをお勧めしましたが、異なる読み方の熟語を一緒に書くことも効果があります。たとえば「塞」という漢字は、「ソク」と「サイ」、2通りの読み方があります。【ソク】……ふさぐ。ふさがる。
(熟語例) 逼塞(ヒッソク)、梗塞(コウソク)、閉塞(ヘイソク)
【サイ】……とりで。要害の地。
(熟語例) 要塞(ヨウサイ)、城塞(ジョウサイ)、辺塞(ヘンサイ)
「閉塞」という漢字を書くときは、違う読みの「要塞」も一緒に書きます。そしてそれぞれの「塞」に読み方と赤印をつけて区別しながら覚えるのです。「塞」を使った熟語で、「ソク」と「サイ」のどちらの読み方が正しいか迷った時には、文脈から判断して「とりで」という意味が当てはまりそうだったら「サイ」、「ふさぐ」という意味が当てはまりそうだったら「ソク」とします。
「塞外」という言葉がありますが、とりでの外という意味で「サイガイ」と読みます。「ふさぐ+外」よりも「とりで+外」のほうがしっくりきませんか?
そんなふうに想像力を働かせて、解答を導き出してみましょう。
「人間万事塞翁(さいおう)が馬」という故事成語があります。人にとって何が幸せになり何が不幸になるのか予測しがたい、という意味です。人生の教訓としてもよく言われますね。「塞翁」は、昔の中国の国境近くのとりでに住む老人のことです。「塞」の一字からこういう言葉も知って使ってみる、これが漢字を学ぶ楽しさでもあります。
<参考文献>
日本漢字能力検定協会発行「漢検 漢字辞典」
www.kanken.or.jp/kanken/textbook/dictionary.html