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台頭する住宅ローン金利の先高観

「住宅ローン金利は現状よりも上昇する」:52.1%

この数字は住宅金融支援機構が今年2月、今後5年以内に具体的な住宅取得予定に伴い、住宅ローンの利用を予定している人を対象に行なった、住宅ローン金利の見通しについて調査した結果です。

これまで下押し圧力が強かった住宅ローン金利が5月から3カ月連続で引き上げられたように、今日、金利の先高観が強く意識されるようになっています。上述の52.1%という数字が物語るように、調査対象者の2人に1人が「住宅ローン金利は上昇する」と考えているわけです。震災以降、住宅市場の回復をサポートしていたのがローン金利の低位安定性だっただけに、そのサポート能力が機能を失い始めると、住宅販売にも悪影響を及ぼしかねません。購入計画を前倒しする傾向が見て取れるのは、自然な流れといえるでしょう。

<今後1年間の住宅ローン金利の見通し (2013年2月時点)>
  • 現状よりも上昇する………………52.1%
  • ほとんど変わらない………………29.5%
  • 現状よりも低下する………………5.1%
  • 見当がつかない …………………13.4%

ただ、金利上昇の悪影響を受けるのはマイホーム検討者だけではありません。金融機関も同様です。金融機関もその分、高い金利での資金調達を余儀なくされるため、住宅ローン利用者への低金利融資を妨げます。住宅ローン市場は戦国時代、金利のダンピング合戦が熾烈を極めているだけに、各行にとって貸出金利を引き上げ行為は危険との隣り合わせなのです。

そうした最中、今年6月に年0.6%という史上最低金利の住宅ローン(3年固定)が登場しました。変動金利をも下回る過去最低の水準です。いくら自行へ顧客を誘導したいと思っても、採算度外視で無謀な貸出を行なったところで、自分の首を絞めるだけです。収支が合わなければ金融機関は赤字になってしまいます。そこには、何か“カラクリ”が潜んでいるに違いありません。

実は、この裏には日本銀行による「貸出増加支援制度」の存在がありました。同制度の一部を利用して、三井住友銀行は年0.6%という住宅ローン(3年固定)を世に送り出すことに成功しました。

貸出増加支援制度を利用すると、銀行は年0.1%で資金調達が可能になる 

貸出増加支援制度とは、日本銀行による金融機関の貸出増加を支援するための資金供給制度のことです。当該制度は金融機関に一段の融資先や案件の開拓を促すことで、現在の緩和的な金融環境を実体経済に波及させようと、昨年12月に決定されました。

特筆すべきは貸出金利の低さです。本制度は日本銀行が希望する金融機関へ資金を貸し出すわけですが、その金利は年0.1%(無担保コールレートの誘導目標水準)です。年0.6%で住宅ローンを供給できるカラクリが、ここにあります。

貸出期間は最長4年(借り換えを含む)と決められているため、どうして「5年固定」や「10年固定」といった金利タイプにまでは活用できないのですが、「3年固定」で年0.6%という金利水準はかなりのインパクトです。三井住友銀行には申し込み希望者が殺到し、早々に取扱い上限総額に達してしまいました。

当然のように他行も追随しており、年0.55%の2年固定(みずほ銀行)や年0.50%の1年固定(三菱東京UFJ銀行)が登場しています。金利のダンピング合戦に、さらなる拍車を掛けることは間違いないでしょう。

貸出増加支援制度は実施期間が15カ月と決められているので、2014年の秋ごろには終了する予定です。少しでも低金利で住宅ローンを借りたいという人は、タイミングを意識した購入計画を心がけるといいでしょう。
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