今回は、台風や大雨後に依頼が急増する修繕部位と、それらの被害を防ぐためのチェックポイントをご紹介します。
台風で屋根や雨戸が飛んだら、被害は自分の家だけでは済まない
台風の翌日になると、棟板金が飛んだ!という依頼が増える。飛びやすい家の付属物に注意。
棟板金とは、屋根の山になった部分を押さえる金属の板のことで、台風の被害に遭いやすい部位です。外れてぶらぶらしているくらいならまだしも、強風で飛んでいき、お隣の家の窓ガラスを割ってしまった、車にぶつかってしまったなど、周囲に被害を与えてしまうこともあります。
棟板金は、通常、貫 (ぬき)という木材に釘で留めてありますが、その貫が腐食してしまうと、釘がゆるゆるになり、ちょっとした風でもすぐに抜けて外れてしまいます。また瓦屋根の場合は、瓦の取り付けが緩んでいると、瓦そのものが風で飛ぶことがあり、とても危険です。
屋根はどんな材料で葺かれていても、10年毎には定期的な点検を受け、都度、腐食や緩みのメンテナンスを行っておきましょう。
雨戸は、レールが歪んでいたり、腐食していたりすると、外れやすくなります、毎日の開け閉めの際に、歪みやガタツキをチェックし、ゆるんでいると感じたら事前に修理をしておくようにしましょう。
台風の雨漏りは屋根からするとは限らない、壁面もしっかり見ておく
台風では、普段はかからない部分にも雨が吹き付けられるため、窓の周囲から雨漏りすることもある。
台風時は強い風が吹き付け、巻き上げることによって、普段は掛からない場所にも雨水が掛かります。そして吹き付けた雨は、外壁やサッシ周りなど、家の各所から侵入し、雨漏りとなります。
屋内に入ってきた雨水は、家の構造部分を伝わって流れるため、経路が見えにくく、雨漏りしている部分の近くに発生源があるとは限りません。実際にあったケースで、家の中に垂れてきていないので安心していたら、入り込んだ雨水が屋外の軒先に流れ出ていたため気付かず、気付いた時には屋根の構造部分がすっかり腐食してしたことがありました。
雨水の侵入箇所として、見掛けることが多いケースをいくつか上げておきます。
【屋根からの雨漏り】
- 瓦、板金、シーリングなどの経年劣化による雨漏り
- 以前に行った増築部分との取り合い不良による雨漏り
- 外壁のひび割れや、シーリングの劣化部分からの雨漏り
- バルコニーや庇の取り付け部分の劣化や、不良工事による雨漏り
- サッシ取り付け部周囲の劣化や、不良工事による雨漏り
- 電線などを通すための壁に開けられた穴からの雨漏り
- 屋外の照明器具から電線を伝わっての雨漏り
台風後は、家の中に雨水の染みがないか、軒先に黒い汚れのような染みができていないかなどを、よくチェックしておきましょう。また屋根と同じく、外壁も10年毎に点検しておくことで、このような被害を防いでいくことができます。
雨どいは地味でも家を守る大切な存在、外れたら早めに修理を
雨どいは家を守る大事な部品。歪んだまま放置せず、きちんとチェックしておくことが台風の被害から我が家を守ることに繋がる。
もともと雨どいは目立たない存在のせいか、歪んだまま放置されている家をよく見かけますが、屋根の雨水を集めて流すという大切な役割があり、この機能がきちんと働いていないと、外壁や基礎、土台回りの腐食を早める原因になってしまいます。
台風後は、雨どいがしっかり家に取り付いているかをチェックしておきましょう。取り付け金物が緩んでいると、強い風で外れてしまいます。
また雨どいの詰まり、ひびわれ、傾き、ねじれなどがあると、正常に水を流すことができなくなります。周囲に樹木が多い場合は、枯葉よけのネットを取り付けておくといいでしょう。
ただし、雨どいは高所にあるため、自分でメンテナンスを行なうのは大変危険です。雨どいの工事を行う際は、足場が必要になりますので、外壁塗装など足場を掛ける際に、雨どいのメンテナンスも一緒に行なっておくと安心です。
いかがでしたか?台風直後はリフォーム業者も大忙しになり、すぐに修理に来てもらうのが難しいこともあります。事前にチェックを行ってできるだけ被害を小さく抑える工夫をしておきましょう。
また台風や竜巻、突風による被害から身を守るために、やっておきたい窓まわりの安全対策リフォームを下記でご紹介していますので、あわせてご覧下さい。
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