昔の旅行者の荷物は?
サウジアラビアの砂漠にてお客様と
瀬戸:私がご案内したのはビジネスマンの方で、旅行内容もビジネスに特化したものでしたから、皆さん目的に合ったものしか持って来られません。ですから観光のお客様と違って、荷物はコンパクトでしたね。ただ、皆さんが視察先でもらう資料があまり重いと重量オーバーになりますので、お預かりして印刷物小包にして送るために、よく郵便局に行ったものです。
ガイド:高度成長期のビジネスマンのまじめな仕事ぶりが伺えますね。ほかに、日本人ならではの持ち物の特徴などはありますか?
瀬戸:清潔好きの国民性のためか、ウエットティシューなどは今も皆さん必ず持ってこられますね。お腹をこわすことを心配してか、水を持ちこんだ方もいました。日本のお菓子などをわざわざ持ってきて、皆さんに配る方もいます。
ガイド:細やかな気配りが素敵ですが、荷物がかさばらないか心配ですね。
大公開! 達人の旅支度
ガイド:では、旅のプロ・瀬戸さんご自身の旅支度について教えてください。瀬戸:業務上、書類をたくさん持たなければならないので、自分自身の荷物というのはあまり持てません。1週間~10日の日程であれば、こんな感じです。
・予備の上着、ズボン各1着
・ワイシャツ……日数÷2枚(1枚を2日着ます)
・下着類 2~3組
・常備薬
・洗面用具(髭剃りは、乾電池式のいちばん小さなもの。液体は最低限の量だけを、最小のビンに移す)
・針金ハンガー2~3本(洗濯干しに使います)
・必要であればネクタイ2~3本
・行先に合わせて、必要であれば替えの靴
モノがなければアタマを使う
瀬戸:ホテルのランドリーサービスは高額ですし、日程によっては仕上がりが間に合わないので、私は利用しません。IT化につれ、ビデオカメラやノートパソコンなど、お客様の荷物には電子機器類が増えました。私自身は、使うことはあまりありませんが一応カメラは持っていきます。また、海外で利用する携帯は、この仕事を劇的に変えましたね。今では手放せません。ガイド:そてにしても少ない! 必要最低限といった感じですね。
瀬戸:ツアーで使われるようなホテルなら、部屋に備え付けていなくても、必要なものはフロントで借りられることも多いです。また、ちょっとしたものなら、現地調達すればいいのです。
ガイド:海外で日用品を買うのも面白いですよね。
瀬戸:携帯もそうですが、今のように便利なモノやサービスがない時代は、今よりもずっと「段取り」や「予測」に頭を使いました。人間、なければないで工夫するものです。便利な時代になりましたが、持つモノが増えた代わりに、頭を使う場面が少なくなったように思います。
旅の荷物を減らす=服を減らす
瀬戸:荷物を少なくするには、かさばる服=着替えを減らすのがいちばんです。ガイド:ずっと同じ服を着るのはちょっと……、という女性にアドバイスを。
瀬戸:私も、持っていく服は着ていく服と色を変えたりして、上下の組み合わせで変化をつけるようにしています。ネクタイがあれば更にバリエーションが増えます。
ガイド:女性であれば、アクセサリーやスカーフを活用するということですね。では「街歩きや自然探訪にも出かけたいけど、素敵なレストランにも行きたいし……」という時はどうすれば?
瀬戸:かなり正式なレストランであっても、男性は襟のあるジャケットさえ着ていれば、今どきは入店を断られるようなことはありません。女性のパンツルックもOKです。街歩き用の楽な靴は履いていき、男性なら革靴を、女性ならドレッシーな靴を一足、持って行かれるといいと思いますよ。