住みたい街 関西/住みたい街の見つけ方[関西]

【統計で斬る】持家率でみる大阪市24区の違い(2ページ目)

住宅情報誌等では「大阪市内」と大阪24区をひとくくりにしている場合がありますが、24区にはそれぞれ個性があります。区内の住宅のラインアップも同様です。今回は、区ごとに持家と借家の比率を調べ比較してみました。区ごとの数字は自分の持っているイメージ通りか否か、図や地図を見ながらお楽しみ下さい。

田中 和彦

執筆者:田中 和彦

住みやすい街選び(関西)ガイド

「住宅・土地統計調査」では「最低居住面積未満の住戸」の数がわかります。最低居住面積とは住生活基本計画(全国計画)で示された住宅の面積に関する水準です。持家/借家別にその平均面積と最低居住面積を満たしていない住戸の割合を示したのが下記の図・表です。

最低居住面積~大阪市

持家/借家別最低居住面積水準未満住戸の割合(各区毎)

最低居住面積~大阪市

持家/借家別平均面積と最低居住面積水準未満住戸

最低居住面積水準は、例えば大人二人と中学生の子供一人の家庭では40平米(10平米×世帯人員+10平米)となります。細かい算出式がありますが説明はコチラ(PDF)を参照してください。

住宅の広さは南部<北部

この水準を満たさない世帯は、持家ではほとんどありません。大阪市全体で2%。北区では都心型分譲マンションが数多くあるせいでしょうか、7%と高くなっていますが、その他の区ではほぼ1%~2%、50世帯から100世帯に1世帯という計算になります。

借家では、区によって大きなバラツキがあります。福島区、西区、天王寺区は商業集積地を抱えたエリアですが最低居住面積水準未満住戸の割合は16%、18%、16%と大阪市全体の数値(27%)を大きく下回ります。30%を超える区は4区ありますが、すべて市内南部です。なかでも西成区は60%と突出して高くなっています。

此花区と港区の差は都市再生機構の住宅の有無

興味深いのは此花区と港区。隣り合った湾岸エリアですが、借家における最低居住面積水準未満住戸の割合は、此花区が大阪市全体より10%低い17%であるのに対し、港区は10%高い37%です。建築種別による差があるのかと前ページの表で借家の建築種別をみるも、どちらの区も共同住宅が93%で、借家のほぼすべてが共同住宅であるという傾向は全く同じです。

ここに差がでる理由は、借家の所有者、大家さんの差です。此花区は借家1万6160世帯の内、約30%が都市再生機構・公社の借家であり、そのカテゴリーに置ける最低居住面積水準未満住戸の割合はわずか約3%。質の高い(というより、ズバリ広い)住宅が供給されています。持家並みの水準です。かたや港区は借家1万9890世帯中、都市再生機構・公社の借家は割合にして5分の1、約6%。しかもそのカテゴリーでの最低居住面積水準未満の住戸は10%。民営借家の広さも差がありますが、都市再生機構・公社の賃貸住宅の供給量が数字の差としてあらわれています。

実際に自分が住む住宅は一つであり、その住宅が広さだけが自分事で周りの住宅の広さ等は関係ないと考える事もできます。とはいえ分譲住宅を買った場合は、自分が住めなくなったとき賃貸/売買市場に出したときの市場性(※)も気になりますし、希望の面積帯の住宅ストックが多くあるかないかで探す際の手間も変わります。

※市場に同面積の住宅が少ないと、希少価値があると言える反面、ニーズが無いから住宅の供給が少なかったとも考えられます。また、同面積の住宅が多いのは、その面積帯にニーズが多いから過去に供給されてきたともとれますし、比較対象とされるライバルが多いということにもなります。

条件にあった物件が見つからないときは、少し手を休めて、このようなマクロ数字に目を向けてみるのもひとつの手ですね。

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