相手方に配偶者がいる内縁(事実婚)関係の場合
本妻と内縁の妻とで、遺族年金の支給はどちらが優先される?
原則、遺族年金は戸籍上の配偶者が内縁関係の配偶者より優先されます。いくら別居しているとはいえ婚姻の届出をしているわけですから、法律上の効力を有しているのは戸籍上の配偶者です。よって、戸籍上の配偶者が遺族年金の支給要件を満たせば、戸籍上の配偶者に支払われることとなります。
では、内縁関係の配偶者が遺族年金の支給を受けることはできないのでしょうか?結論からいうと、戸籍上の配偶者とは婚姻関係の実態が全くない状態であり、かつ、遺族年金の要件を満たせば、内縁関係の配偶者でも支給を受けることができます。
まず、「戸籍上の配偶者とは婚姻関係の実態が全くない状態」とは、具体的に、おおむね10年程度別居しており、経済的援助や音信・訪問もない状態となります。このような場合、戸籍上は配偶者だが実態的には配偶者とはいえないと判断され、遺族年金支給の対象者から外れます。
戸籍上の配偶者が遺族年金の対象者から外れると、次は、内縁関係の配偶者が遺族年金の要件を満たしているのか?という部分に審査が移ります。内縁関係の配偶者に対する要件は、相手方に配偶者がいない内縁(事実婚)関係の場合と同様です。しかし、このようなケースでは確実に支給されるという保証はなく、審査がありますので、請求をしてみないとわかりません。
以上のように遺族年金は、要件が揃えば内縁関係の配偶者に対しても支給されます。結婚していないからとあきらめるのではなく、とりあえずは遺族年金の請求をしてみることをオススメします。
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