過熱相場になってから投資信託を買うのは禁物
高値で買ってしまわないためにはどうしたらいいの?
しかし、5月23日の終値は、前日比1143円安と急落。その後は、FRBの量的緩和の早期縮小への思惑や円高などを背景に株価は軟化傾向で、現在の日経平均株価は1万3000円前後で推移しています。
とりあえず、アベノミクス相場の第一幕は終了といえるわけですが、国内外からの強い期待感は今なお続いています。株価の調整にはしばらく時間がかかりそうですが、大胆な金融緩和を維持しながら成長戦略を進める動きに期待が高まれば、いずれは第二幕がスタートする可能性も考えられます。
次の上昇相場が来た場合でも高値づかみしないよう、何らかの指標は持っておきたいもの。今回は投資初心者でもわかりやすいテクニカル指標をご紹介しましょう。
市場の過熱感をはかるのに便利な「振り子」系指標
初心者にも見やすいオシレータ系の指標。RSIのほか、RCI、サイコロジカルラインなどもあるが基本的な見方は同じ
オシレータ系の指標とは、一定の範囲内で上下に振れることでマーケットが買われ過ぎか売られ過ぎかを示すもの。代表的なものが「RSI」という指標です。
RSIは相対力指数ともよばれ、広く活用されています。過去の一定期間においての上げ幅と下げ幅をもとに算出されるもので、数値が100%に近いほど買われ過ぎ、0%に近いほど売られ過ぎを表します。実際にはゼロや100になることはなかなかないので、30%以下は売られ過ぎ、70%以上は買われすぎのサインと判断するのが一般的です。
たとえば、日経平均株価の月足チャートとRSIのグラフを表示したものが下の図です(RSIのグラフには、どこが70%、30%のラインか、わかりやすいように線をひいています)。
日経平均株価の月足チャートとRSI(カブドットコム証券のチャートより)。ちなみに2006年、2007年のような動きを「逆行現象」といい、日経平均の高値は切り上がっているのに対し、RSIは高値を切り下げています。このようなときは、その後RSIの示す方向に相場が大きく動く傾向があります。
このように振り子のように上下に振れる動きを見て、相場の行き過ぎ感を確認できます。月足でRSIが30%以下や70%以上に振れるのは大きなトレンドが発生したときなので、大きな波をとらえるチャンスといえます。30%を割ったくらいからさらに大きく値下がりすれば買いを増やしていく、70%を超えたくらいからさらに大きく値上がりすればだんだんと売っていくといった戦略がとれます。
RSIは、過熱感のある相場への参入を避け、徐々に株式投信の保有を下げていくための手がかりになりますし、リバランスを行うタイミングを考えるのにも役立つでしょう。また、より短期のトレンドは日足、中期のトレンドは週足チャートで見ることもできます。
RSIは過信せず一つの目安として活用しよう
ただし、買いが買いを呼ぶ、売りが売りを呼ぶ展開で大相場になった時は、RSIが30%や70%のラインを越えても相場がどんどん下げ続けたり、上げ続けたりすることがあります。よってRSIだけを信じて、すぐにまとめて買ったり売ったりするのは禁物です。ラインを越えてきたら段階的に買っていく(売っていく場合)、あるいはポートフォリオの比率を段階的に見直していく、といった一つの目安として利用するのが賢明です。RSIはYahoo!ファイナンスのサイトでも見ることができます(日経平均株価やETFの銘柄等を表示⇒チャート⇒多機能チャート(Java)⇒「領域」でRSIを指定)。メディア等で上昇相場が大きく取り上げられる頃には、RSIなどのオシレータ指標はすでに過熱感を示していることが多いものです。相場の動向を客観的に判断するため、投資信託を買う前には必ずチェックしてみてはいかがでしょう。
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