“AMGの本質”を堪能できるドライビングアカデミー(2ページ目)

“大ドリフト大会”でC63クーぺの懐の深さを知る

翌日。ホテルからホッケンハイムリンクまで、自分で移動する。筆者は空港で借り出したC180ディーゼルのレンタカーだったが、参加者は当然、爆音サウンドのAMGを駆ってでてゆく。

半時間でサーキットに到着。すぐに全体ミーティングにはいり、柔軟体操で身体をほぐした。ピットレーンには、ずらり、メルセデスAMGの最新モデルが並んでいる。みんながお目当てにしている(はず)SLS GTを筆頭に、C63クーペ、E63、SLK55など先導車両を含めると30台近くになろうかという台数で、なかなか壮観だ。

ボクらのグル−プはいきなりＣ63クーペをあてがわれた。コースをいったん出て、向かった先は、パドック内に設けられたパイロンコース。一部、濡れた路面になっている。

1/3周ほどウェットになった円周に50km/h程度で進入し、アクセルオンで、いわゆるアンダーステアとオーバーステアを体感する。フロントがつっぱってガッガッガッといいながらノーズが外に向いたらアンダー、オシリが振られたらオーバーだ。何度も同じコースを走るが、走行モードやESPオンオフによる動きの違いを体験することで、最新モデルの電子デバイスの優秀さを実感する。

とまあ、ここまではフツウのありふれたレッスンだ。AMGアカデミーは、この先が楽しかった。走行モードをスポーツ＋にして、ESPをカットし、思う存分に踏んで走ってみろ、となった。要するに、朝一から大ドリフト大会になったというわけで、これがツマラナイはずがない。思う存分にオシリが振られるのを楽しむ同時に、Ｃ63クーペの限界域におけるコントロールのしやすさ、素直さ、懐の深さを知る。これは、本当に楽しいクルマだ! 恐らく、今、世界で最も愉快なツルシのドリフトマシンではないか!

“クルマがサポートしてくれる”を体験する

休憩を挟んで乗り込んだのは、待望のSLS GTだ。レーシングコースの一部を使って、レコードラインの見つけ方を学ぶ。とはいえ、スーパーカーのSLSに乗ってしまっているものだから、コースを学ぶという以前に、クルマと仲良くなろうと、ドキドキハラハラ。とにかく、先生のＣ63に食らいついていけば、何とか走りやすくて、しかも気分的に速くこなせるラインがみえてきた。

午前中の最後は、E63を駆って狭いボックスに100km/hくらいで進入し、ブレーキングしながら、電光掲示の指示どおりにノーズの向きを変える、という、障害物回避のトレーニング。ABSの恩恵を知る大事な練習だけれども、停まる練習ほどつまらないものはない。

ランチを終え、午後は再びＣ63クーペだ。何をやるのかと思えば、ジムカーナのタイムアタックだった。3回練習して、2回のアタック。もちろん、全体総合でタイムを競い、豪華記念品も出る、というのだから、燃えた。1回目はまず、タイムを残して、2回目にハードアタック！結果は、ああ残念、入賞ならず。

ちなみに、同じチームだったノルウェー人の息子さんの方は、きっとヴァーチャルゲームで鍛えているのだろう、全参加者中、ダントツのトップタイムで、デモンストレーションの先生にも迫っていたが、残念ながら最後のコーンに接触し、幻のコースレコードとなった。

競争のあとは、ちょっと趣向を変えて、Ｅ63を使ったエコなサーキット実験である。先生が、ちょっと頑張って走る程度の早めのペースで、フルコースを先導する。最初の５周はスポーツ＋で、次の５周をエコで、それぞれ自動変速で走ってみた。もちろん、先導車のペースは同じである。

すると、どうだ。ラップタイムがほとんど変わらないにも関わらず、燃費が30％近くも違っている。なるほど、高性能で高機能なマシンさえあれば速く走ることはさほど難しくないが、燃費よく賢く速く走るには熟練の技術が必要だ。それを、クルマがサポートしてくれる、という興味深い体験である。

そして最後は、待ってました! SLS GTを駆って、連続30分のフルコース走行。先導車のペースも徐々にあがっていき、最後にはみんな、ついて行くのも精一杯で……。