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TPPが及ぼす医療・医薬品のメリット・デメリット(2ページ目)

現在議論されているTPP。「環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Partnership)」の略で、太平洋を取り囲む国の間で、経済の自由化を進めようという動きです。様々な分野での影響が考えられるTPPについて、医療や医薬品との関係についてまとめました。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド


TPPで起きうる医薬品・医療機械の自由化

医薬品

医薬品はどうなるのでしょうか?

それでは、医薬品や医療機械の自由化によって起きうることは何でしょうか?

メリットは、海外承認されている医薬品や医療器具が安く輸入されること。デメリットは、医薬品、医療器具の安全性が確保できるかどうかが不明なことです。

医療器具は多くは開発コストがかかるため、海外の医療器具を承認しているのが現状です。海外で一定の安全性があると判断されている医療器具を承認していることが多いです。TTPに参加すれば、医療器具の価格が下がったり、医薬品の値段も下がったりし、国民医療費の上昇を抑制できる可能性はあります。

一方で問題になるのは安全性です。世界で承認されている医療器具について、日本独自の判断で承認をしなかった場合、関税と同じということで、ISD条項を盾に、やはり企業から国が訴えられる可能性があります。海外で安全だからと言っても、日本人にとって安全であるかどうかを判断することは大切ですから、独自の安全基準は必要でしょう。

TPPを考える上で基準にすべきことは?

それでは、これらの複雑なメリット・デメリットが絡むTPPを考える上で、国民である私たちは何を基準にすればいいのでしょうか?

医療分野において、医師としては理想ですが、「人の命は平等である」という原則から考えます。したがって、所得などで受ける医療が異なることはいいこととは思えません。つまり、医療には経済原理は必要でしょうが、なじまない、ということです。

安かろう悪かろうをいかに排除し、安く良いものを、安心して使えることができるか、それが一番大事になります。例えば、医療機関の病床は空床にすればコストだけ発生します。しかし、いざ病気の方が運ばれてきたときに空床が無いと医療ができなくなります。

つまり、安心、安全にはコストがかかることを認識した上で、いかに効率よく、広く医療を行い、国民の健康と安心を確保できるのかを考えるべきでしょう。

TPPとして白紙委任は危険ですので、医療においてはしっかりと交渉して、守るものが守られるなら、参加も1つでしょう。しかし、国民の健康が守れないと判断すれば、TPPから辞退するのも1つでしょう。

個人的にはTPP交渉についての参加は賛成。TPP参加については交渉次第、ということではないかと考えております。交渉に参加した上で、拒否する必要があると考えた場合には「NO」と言える日本に期待したいです。
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