あまりにも少ない学童疎開を描いた映画 『あゝひめゆりの塔』
■監督舛田利雄
■主演
吉永小百合
■DVD販売元
日活
クラブで踊り狂う若者たちの中で、戦後20年の持つ意味とは、と考える男のシーンからはじまります。
吉永さゆり演じる女学生は、沖縄の地で教員学校に通っていました。
明るく学校に通いながらも、竹やり訓練が増えてきたり、学友の兄がサイパンで玉砕した知らせを聴くなど、戦火はだんだんと沖縄に押し寄せてきます。
そんな中、教員の母は学童を連れて本島へ疎開。家族は離ればなれに。
母の乗った学童疎開の船は撃沈されてしまいます。
卒業式の日、沖縄全島に戦闘態勢がひかれ、女学生全員が看護隊に任命、派遣されることになります。
沖縄玉砕までが学生たちを中心につぶさに描かれています。
学童疎開のシーンは、現代の幼い子たちにも見せてあげたい。
学童疎開が描かれている映画はあまりに少ないのではないでしょうか。
その目的やその先、どのように暮らしたか等、知っていて、生徒に教えてやれる先生はいまどのくらいいるでしょう。
遠足や修学旅行のように、いつ無事に帰りつき、いつ家族に会えるかもわからないで暮らすことの不安を全員が味わわなければならなかったあの時代のことを、 同じ年代のうちに、一度でも思いを馳せてみてほしいのです。
トラックからなだれ落ちる負傷兵。
毒を配られ残される患者たち。
切り落とされた手足をはこぶ女学生。
想像を絶するすさまじい光景に神経が焼き切れそうです。
つらい日々の中でカチャーシーを踊る女学生たちがにわかに雰囲気を破るが、運命はきびしいものでした。