石原裕次郎がアクションのイメージとは異なる、等身大の青年を演じた作品
『あじさいの歌』
■監督滝沢栄輔
■主演
石原裕次郎、芦川いづみ
■VHS販売元
日活
1960年に公開された「あじさいの歌」。
「青い山脈」を連載し、映画が大ヒットしたことから、百万人の作家と呼ばれた石坂洋次郎の原作です。
■あらすじ
若い商業デザイナーの河田藤助(石原裕次郎)は、ある日、足を痛めている老人、源十朗(東野英治朗)を背負って家まで送ってあげる。
そこで彼の娘、けい子(芦川いづみ)に出会い、その美しさに心を奪われる。
母親が駆け落ちをしたために、外出を許されないけい子だったが、藤助の提案で世界が広がっていく。
そして、藤助が撮影した彼女の屋敷での写真「あじさいの歌」が展示され、その写真を欲しがる男が表れる……
■おすすめの理由
石原裕次郎さんは、個人的には派手なアクション映画よりも、こういう等身大の青年を演じているほうが好きです。
やんちゃな不良ではなく、好感の持てるさわやかで、おおらかな優しい青年という役どころがぴったり。
でも、アクションのない役でも、まったく違うイメージを出せるのは、やはりすごい役者さんだったのかも……と改めて感じます。
そして、世間を知らないお嬢様の芦川いづみが、とてもきれいで愛らしい。
「世間的に私は美しいのですか」と聞くシーンが、チャーミングでした。
さわやかな石原裕次郎さん演じる河田藤助と、美しいお嬢様のけいこは惹かれ合って当然のお似合いのカップルなのですが、藤助に片思いをしている、けい子の友人の女子大生はちょっと淋しげで切ない感じでした。
最後にお父さんの源十朗と、けい子の家庭教師の先生にも遅い春がきます。
最後まで、気持の良い、青春恋愛ストーリーとして楽しめます。