東宝特撮、黄金時代の黄金タッグ
■監督本多猪四郎
■主演
池部良
1954年の『ゴジラ』の公開以降、東宝の特撮映画がノリにノっていた時期の中でも、特に代表的な特撮作品のひとつが『妖星ゴラス』です。
監督は初代『ゴジラ』ほか東宝特撮で多くの傑作を監督した本多猪四郎、特技の監督は後に『ウルトラマン』シリーズを手がけることになる円谷プロを設立する、円谷英二。
東宝特撮黄金タッグですね。
他に類を見ないトンデモな展開!
ある日、天文台が地球に急接近する謎の星「ゴラス」を発見、このままでは地球が危ない!でも爆破するにしては星が大きすぎる。そうだ、それなら地球の軌道をずらしちゃえ!
ざっくり言うと、こういうストーリーです。
軌道をずらすという、あまりの規模の大きな話に、空いた口がふさがりません。
地球に星が衝突する! というストーリーの映画は多くありますが、それを避けるために地球をまるごと動かすというアイデアは、この映画以外にはないでしょう。
特撮史上の名シーンのひとつ
本作の見所ですが、東宝が惜しみなく資金を注ぎ込み、最新の技術で円谷指揮のもとに作られた、素晴らしい出来栄えの特撮の数々。特に南極に地球を動かすための噴射口を建設するシーンは圧巻の一言で、発泡スチロールで作られた氷原を大船団が割って進み、巨大なクレーンが何本も立ち並んでみるみる構造物が出来上がり、地上ではブルドーザーがガリガリ地面を削ってゆきます。
このなんとも言えないワクワク感をもたらしてくれる場面は、特撮史上に残る大傑作シーンのひとつでしょう。
この他にも、ゴラスが地球に近づいてきたために、東京が水没するシーンや、ゴラスの発する怪しげな赤い光など、特撮的見どころは満載です。申し訳程度に出てくる怪獣「マグマ」はご愛嬌。