映画/口コミでおすすめのホラー映画(邦画)

メロドラマとホラーが見事に融合「ガス人間第1号」

主人公は人体実験で細胞が分裂し、肉体を気体化することが可能になります。彼はガス人間となって銀行強盗を働くのですが、それは偏愛する踊りの師匠に発表会をさせるための資金集めが目的でした。普通の人間には二度と戻れない彼の、屈折した愛情表現が不憫です。ドラマ部分と特撮が見事に融合し、メロドラマとホラーの合体もよく出来た作品です。

投稿記事

円谷英二が生み出した不気味な特撮シーン

■監督
本多猪四郎
■主演
土屋嘉男、八千草薫
■DVD発売元
東宝

■おすすめの理由

主人公の水野(土屋嘉男)は、宇宙飛行に耐えるための人体実験で細胞が分裂し、肉体を気体(ガス)化することが可能になります。

彼はガス人間となって銀行強盗を働くのですが、それは偏愛する踊りの師匠(八千草薫)に発表会をさせるための資金集めが目的でした。

普通の人間には二度と戻れない彼の、屈折した愛情表現が不憫です。
観客は水野ただ一人というラストの踊りの発表会も哀れを誘います。

2009年には悲恋ものとして舞台化されています。

この映画は、監督の本多猪四郎と特技監督の円谷英二のコンビが生み出した、変態する(してしまう)人間たちの悲しさと不気味さを描いた『美女と液体人間』(58)、『電送人間』(60監督は福田純)、『マタンゴ』(63)の系譜に属します。

どれもドラマ部分と特撮が見事な融合を見せますが、メロドラマとホラーの合体という点ではこの映画が一番でしょう。

水野は、普段は普通の人間と全く変わらないのですが、一種の精神統一をすることで自由に肉体を気体化させることができます。

彼が青白いガスとなって刑務所の鉄格子を抜け、あとには抜け殻となった背広だけが残るシーン。あるいは人にまとわりついて窒息させる恐怖が特撮を駆使して描かれます。

これらのシーンは、子供のときに見たらトラウマになるほど不気味です。

水野を演じた土屋嘉男は、東宝特撮映画を支えた怪優です。『地球防衛軍』(57)のミステリアン、『怪獣大戦争』(65)のX星人など一筋縄ではいかない役で楽しませてくれました。


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