そもそも基準地価とは?
基準地価(都道府県地価調査)とは、都道府県が不動産鑑定士の評価を参考に毎年7月1日時点の価格を調査しています。公示地価と所管は異なっていますが、評価の方法は同じです。基準地は、原則として、公示地の設定されていない地域に設定されますが、公示価格の価格時点からの変動を示すために、公示地と同一地点が基準地として設定されている場合もあります。また、公示価格は都市計画区域内のみで調査しているのに対し、基準地価は、都市計画区域外でも実施しています。
なお、先日、発表された路線価は、土地の価格を加重平均して算出するので、地価が高い大都市の影響を受けやすいのに対し、基準地価は調査地点の変動率を単純平均して算出しているといった違いがあります。
東京、大阪、名古屋の三大都市圏は16年ぶりに上昇!
2006年の基準地価は、全国平均(全用途)では、▲2.4%の下落と15年連続で下落しましたが、下落幅は3年連続で縮小しています。三大都市圏(東京、大阪、名古屋)では、住宅地、商業地ともに平均で16年ぶりに上昇しています。ちなみに、東京都区部はすべての調査地点において上昇に転じており、これは19年ぶりのことです。
それに伴い、比較的大きいとされている地方都市(札幌、仙台、福岡)においても、上昇に転じている地点があります。しかし、地方圏の上昇地点の比率は、商業地で4%、住宅地は2%しかないのが現状です。
今年3月に発表された公示地価では、三大都市圏(平均)は商業地のみが上昇に転じていましたが、半年後の基準地価では、住宅地も上昇に転じています。このことから、三大都市圏においては、地価の反転が明確に確認できたといえます。
基準地価:地域別変動率 |
これは、景気回復に伴うオフィス需要の高まりとJ-REITや私募ファンドといった不動産投資ファンドの購入意欲の増加がこのような結果を生んでいます。したがって、土地価格の上昇は「景気回復」がキーワードになっています。
今年の公的な土地価格から分かること・・・
2006年の公的な土地価格の公表はすべて終わりましたが、三大都市圏を中心に商業地から先に上昇に転じているのが特徴です。そして、それにつられる形で三大都市圏の周辺都市 や地方都市に波及しています。しかし、人口の減少している地方都市は依然として下落し続け、下落幅も大きくなっています。いわゆる「二極化」が鮮明になった年であるとも言えます。この流れは当分続くことでしょう。そして、その二極化の分岐点はその地域の「景気」であることが言えます。
したがって、現在、下落し続けている地方都市でも、その地域の経済が今よりもっと活発になれば、土地価格の上昇のチャンスはあるのです。
なお、注意しておかなければならないことは、三大都市圏内でも、交通が不便な場所や大通りから一本入ったいわゆる路地裏においては、大きな格差が生じている場合があります。不動産投資をされる際は、その土地ごとの評価が今まで以上に重要になってきています。
例えば、一等地と呼ばれる土地の売買価格は路線価や公示価格の数倍で取引されているといった事例も新聞などで紹介されています。しかし、その近隣の土地はその影響を多少なりとも受けるとはいえ、路線価や公示価格の数倍で取引されているといったことはほとんどありません。
これは、「この土地からいくら収益を得ることができるか?」といったことを基準に土地の価格を決める収益還元法といった手法が定着しているといったことも忘れてはなりません。
早いですが、来年の土地価格はどのような動きになっているのでしょうか?次の公的土地価格の公表は来年3月下旬頃の公示地価となります。