過激なシーンに美しい旋律を合わせる手法を確立した作品
■作品名世界残酷物語
■監督
グァルティエロ・ヤコペッティ
■DVD販売元
ジェットリンク
思わず目をふせたくなるような、過激なシーンに、美しい旋律の音楽……
この組み合わせは、このドキュメンタリー映画によって確立されたと言われています。
それが、1962年に公開されたイタリア映画「世界残酷物語」です。
原題は「MONDO CANE」で「犬の世界」という意味。
監督は、グァルティエロ・ヤコペッッティ監督で、残酷物というよりも世界の奇妙で野蛮な風習を集めた映画で、やらせも含まれているそう。
そして、それが「モンド映画」というジャンルを築くきっかけになったそうです。
■あらすじ
世界の様々な風習、奇習などが、ひとつのシーンの最後から連想されるもので、次のシーンへと
繋がりオムニバスのような編集で物語は進みます。
次々と繰り広げられる、野蛮な風習や、グロテスクな食習慣、そしてエロティックなシーン……
この手の映像が苦手な人は、ちょっとつらいかも知れませんが、結構苦笑してしまうシーン(男性の身体を洗う日本の女性のサービスとか)もあります。
■おすすめの理由
なんと言っても主題曲「モア」の美しいこと……
カメラワークもとてもいいと思います。
未開人の野蛮と感じさせる風習と、文明人とされる人間のゆがんだ嗜好がクロスする、なんとも言えないドキュメンタリー(やらせの部分もあるとしても)映画ですが、今でこそ、インターネットでいくらでも世界を覗き見ることはできますが、当時としては衝撃的な映像だったと思います。
でも、保健所で殺されるのを待っている犬達……これは昔も今も変わらない、私達の周囲で日常的に起こっている真実の「残酷物語」だと思います。
美しい旋律に、絶妙なカメラワーク、まったくの真実のドキュメンタリーではありませんが、モンド映画として観ると、当時の時代を考えると、とても感慨深い内容だと思います。