女性の心理の変化や揺れをリアリティをもって描かれている作品
『5時から7時までのクレオ』
■監督アニエス・ヴァルダ
■主演
コリンヌ・マルシャン
■おすすめの理由
フランスの左岸派の監督として、同じく映画監督ジャック・ドゥミの妻としても知られるアニエス・ヴァルダのヒット作品です。ストーリーは、人気歌手のクレオ(コリンヌ・マルシャン)は、自分がガンなのではないかと思い込んでいます。その結果を待つ午後5時から午後7時までのクレオの行動をほぼオンタイムで追い、ドキュメンタリータッチで描きます。
時間つぶしの占いでも不安は募り、恋人と会っても苛立ち、友人が持ち込んだ歌の歌詞も悲しくてやりきれない気持ちに……。落ち着かない気持ちをどうしていいのかわからずにパリの街をさまようクレオを追いかけるカメラ。当時にしてはきっと斬新な手法だったことでしょう。
そして、ある青年と出会い、彼の心の優しさにふれたクレオは自分の運命を受け入れる心づもりができ、二人で病院に結果を聞きに行きます。女性の心理の変化や揺れをリアリティをもって描き出しているのは女性監督ならではだと思います。
ちょうど50年前の作品ですが今観てもきっと共感できるポイントは多いはず。
パリの街並みもとても素敵です。音楽は「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」でよく知られるミシェル・ルグランです。ルグラン本人や、アンナ・カリーナなど豪華なカメオ出演もお見逃しなく。