ドラキュラものが連発されたきっかけとなった作品
『吸血鬼ドラキュラ(Dracura)』
■監督テレンス・フィッシャー
■主演
クリストファー・リー/ピーター・カッシング
■DVD発売元
ワーナー・ホーム・ビデオ
■おすすめの理由
60年代でホラーと言えば、当然「サイコ」を挙げないわけにはいかないし、映画としての完成度や、後年への影響等はかり知れないものがあります。
しかし、当時の一般認識と今のそれとは、違う。
名作と言っても、取り扱っているテーマをどう受け取るか、それは今と昔で違って当然です。
私自身も観ましたし、スタイリッシュで、完成度の異常に高い映画であるのはわかっていますが、ここでは避け、他の方にお任せしたいと思いました。
代わりに、ドラキュラ関連作を挙げたいと思います。
'58年制作で、厳密には60年代の映画ではないですが、本作のヒット以降、60年代にドラキュラものが連発されたので、きっかけとなった記念碑として触れます。
原作はブラム・ストーカー「ドラキュラ」(小説)です。
この小説をモチーフにした映画は本作以前にもたくさんありますが、最も古いのは「吸血鬼ノスフェラトゥ」('22年 西ドイツ ※東西統一以前)でしょうか。
サイレント時代の映画ですが、パイプ・オルガンの響き、モノクロ故に想像力をかきたてられるのか、非常な恐怖を感じました。
そのリメイクが'79年(西ドイツ)「ノスフェラトゥ」ですが、こちらにはドイツ人俳優としてお馴染みの俳優さんがたくさん出ていて、ヒットもしています。
'58年の本作は、ドラキュラ=吸血鬼で不死身、というパブリック・イメージをつくった大本と言えるかもしれません。
そして、この怪物がどうやって生まれたのか等には、あまり触れられていません。
しかし私も、多分ここをきっかけにして「ドラキュラもの」にハマっていったのであり、先述「サイコ」同様、後年への影響はすさまじいものがあると思います。
実際に、フランシス・コッポラ(ソフィアの父)も映画化をしていて、こちらはホラーの要素もありますが、ラブストーリーとしても描かれています。
業/悲哀というか、宿命というか、ずっしりしています。
原作にはむしろそうした要素のほうが大きく、それがドラキュラという怪物をつくったのだと思いますが、それは各々確かめてみてください。