聖沢の守備範囲の広い理由は
俊足だけではなく、投手の配球研究の成果
聖沢は走攻守すべてでハイパフォーマンスを見せ、楽天を引っ張っていく
「一生懸命投げて打ち取っている投手を助けたいと常に思っている。名前が残るのはうれしい。まだまだ味方を助けるプレーはできていない。味方から信頼される選手になりたい」
地味な記録と思われがちだが、これぞプロフェッショナルである。外野手の失策する要因は、落球、打球の処理ミス、返球ミスなどだが、球場の形状や風向き、相手打者のクセなどが常に頭に入っていなければならないし、何より1球たりとも気を抜けない。さらに聖沢の守備範囲の広い理由は、俊足だけではなく、投手の配球研究の成果でもある。
聖沢は今季のオープン戦から米村外野守備走塁コーチの勧めもあって、試合前のバッテリーミーティングに参加するようになった。通常、投手と野手は別々に行われるため、外野手の参加は異例。これは味方投手の配球を踏まえることによって、打球判断の重要な材料にしているのだ。
「ヒット性の当たりをアウトにして、相手にダメージを与え、流れを変える守備を意識していきたい」
これこそ”攻めの守備”というべきか。歴代1位の1065盗塁を記録し、ダイヤモンドグラブ賞を12回も受賞している守備の名手だった福本豊氏(元阪急)はこう言った。
「ええ外野手は、バッターが打った瞬間にボールの落ちる場所がわかる。そやからたいがい先回りして構える。素人にはファインプレーには見えんのや」
下手な外野手や並の外野手ならやっと追いつくフライでさえ足の速さと状況判断の的確さ(相手打者のクセや打球音も含む)で軽々と捕ることができた。
普通ならファインプレーになるところを、決してそうは見せないところに福本氏のプロとしての誇りを感じさせるが、聖沢が求めているところもまさにこの点で、「相手に嫌がられるセンター」を目指しているのだ。
昨年は不動の1番打者で盗塁王(54個)に輝いた聖沢。今年は走攻守すべてでハイパフォーマンスを見せ、楽天を引っ張っていく。