「Eylea」が売上の大半を占める
同社売上構成のうち「医薬製品販売」は、同社が直接米国内で販売する薬の売上を表しますが、2011年後半より販売開始した前述の「Eylea」が現在ほとんどすべての売上を占めます。日本でも「アイリーア」という名前でバイエル薬品を通じて滲出型(ウェット型)加齢黄斑変性患者に投与されています。また米国以外の販売は共同開発したドイツ・バイエル薬品が行い、その損益を分け合う形になります。そして2012年8月にもう一つ新たな薬が承認され、販売開始されました。これはフランスのサノフィー社と共同開発した転移性結腸直腸がんの治療薬「Zaltrap(一般名:アプリベルセプト)」です。こちらは日本を除くグローバル販売をサノフィー社が行い、そしてその最終損益を両社で二分する方式です。こちらのほうの2012年売上高は3200万ドル( サノフィー社を通じ販売)ほどであり、「Eylea」と比べるとかなり小さいものです。
加齢黄斑変性という眼疾患
ところで、加齢黄斑変性は中高年の欧米人に非常に多く見られ、失明に至る確率の高い病気です(欧米の失明原因1位)。日本でも生活習慣の欧米化により、視覚障害者の第4位に上がってきている病気です。また近年液晶画面を使ったパソコン、さらにはスマートフォン、タブレットが急速に普及していますが、画面から発せられるブルーライトが加齢黄斑変性の原因となることもわかってきました。それ以外に加齢のほか、遺伝、タバコ、肥満なども関連性が高いことが分かっていますが、発症に至る確実な要因は分かっていない病気です。完治する治療法もありません。進行を止められるか、遅らせられるかがポイントの難病です。
この病気は網膜の中心にある黄斑部分に、何らかの理由で新生血管という良くない血管が出て中心を圧迫することで引き起こされます。発症すると、ものが歪んで見えたり中心部は黒く見えだし、その後視力を失うおそれがあります。Eyleaは新生血管の成長を活発化させる増殖因子を抑制するもので、眼球の中に直接注射するものです。
放っておくと数年後に視力を失う可能性があるにもかかわらず(しかも片眼に発症するとその後もう一方の眼にも発症しやすい)、これまであまり有効でないレーザー照射などの治療が行われてきました。そこで上述のような増殖因子を抑える注射液が別の2社(「アバスチン」と「ルセンティス」という薬名)から数年前より開発・販売されていました。
そこへEyleaが昨年登場した訳ですが、早くも先行した2社の独占市場に割り込んで、最新のEyleaは2割以上のシェアを確保している模様です。そして2013年はシェアをさらにさらに大きく拡大させそうな様子で、「アバスチン」と「ルセンティス」に代えて「Eylea」を投与するドクターが増えています。
市場規模が大きいので、今年は米国内だけでも12億ドル以上販売される予想もあります。生活の変化(欧米化やスマホ依存症)によって加齢黄斑変性患者は今後さらに増える可能性があります。
加齢黄斑変性関連銘柄は日本にもある。次のぺージで紹介します!>>>