リアルな恋愛模様にドキっとする『セレステ∞ジェシー』
セレステとジェシー、離婚しても親友でいられる?
セレステ(ラシダ・ジョーンズ)は、会社の経営者として忙しく、著書も出すなど人生順調。高校時代からの付き合いで夫のジェシー(アンディ・サムバーグ)とも仲がいい。でも二人は離婚を考え、別居中なのです。
ジェシーはセレステに未練たっぷりで、実は離婚したいわけではない様子。でもセレステにとって、今のジェシーは大親友。一緒にいて楽しいけれど、売れないイラストレーターのジェシーが仕事に精を出さないことにガックリきているのです。貧乏で、将来の展望もないジェシーと結婚生活を続けても意味がない、子供ができたら、その子がかわいそうだと親友に語るセレステ……。
ある日、組み立て家具がうまくできず、セレステはジェシーを呼び寄せ助けてもらいます。その晩ふたりは昔のようにベッドを共にするのですが、翌朝、甘い時間を喜ぶジェシーに対し、セレステは彼を傷つける発言をしてしまい、ジェシーは怒って部屋を飛び出してしまいます。言いすぎたとジェシーに謝りの電話を入れても繋がらず、焦りまくるセレステ。そのとき、彼女は、ジェシーのことを深く愛していることに気づくのですが、時はすでに遅く……。
現代女性の恋の痛い経験をリアルに描いた脚本
この映画のどこにそんなに心惹かれるのか……と申しますと、それは女子なら一度は経験するような感情がつまっているからです。女性が仕事に生きがいを見出し、同時に恋愛も謳歌するという時代だからこそ生まれた恋愛映画だと思います。そして男目線で見れば「ガツンと一発くらわせてやったぜ!」と言う、軽~い“してやったり感”が生まれる映画でもあるかも。ちなみにジェシーはザ・草食男子。この映画は“草食男子の逆襲” 的なニュアンスも含まれた映画なのですよ。
セレステとジェシーの関係は、ずっとセレステがジェシーよりも優位に立っていました。キャリアもあり、財力もあり、社会的な地位が上だったし、何よりジェシーはセレステに惚れぬいていましたからね。セレステにとって彼は“自分を慕ってくるかわいい人”。笑うポイントも一緒、好きな物も一緒、本当に楽しい彼氏だったのです。でも、ジェシーに向上心がないところがネックだった。
セレステは、ジェシーにも成功してほしい、一緒にサクセスロードを歩きたいと思っていたでしょう。しかし、どんなにハッパかけても、セレステに頼りっぱなしのジェシー。だからこそ離婚前提で別居しているのです。彼にもっとしっかりしてもらいたいと思っていたから……。
が、しかし、それはセレステの思い上がりだったことが後半わかってくるのです。
恋の主導権を握る女の心ない一言が恋人を傷つける!
セレステは、自分は成功を手に入れているけれど、ジェシーはまだ半人前だと思っています。だから、無意識のうちに、こう思っていたのかもしれません。「この恋愛の主導権は私にあるの。くっつくのも別れるのも、私が決めるのよ。だってあなたの方が私のこと好きでしょう」。
惚れられていることに胡坐をかいていたセレステは、彼が自分以外の異性に心惹かれるとは思っていないのです。ネタバレになるので、これ以上は書けませんが、「彼の方が私のこと好き」と思い込んでいる女性ほど、その恋人から別れを切り出されるとガクゼンとしてしまうもの。そして、セレステのように、引き裂かれるような苦しみと、彼が去って行ってしまうという悲しみと、彼の心を取り戻したいと思う焦りが生まれるのです。
前半とうってかわって、後半、ジェシーを取り戻そうとするセレステの焦りは、もうリアル過ぎて「イタタタ!」と胸をおさえる女性は多いと思います。おそらく男性につくすタイプだったり、仕事より恋愛、結婚を優先する人は「私はセレステみたいに彼を傷つけたりしない」と思うでしょう。でも働くことも恋することも同等に大好き、そして自分大好きな女性は、気を付けないと、セレステのような痛い思いをする可能性大!
セレステみたいな女性が『セレステ∞ジェシー』を見たら、ちょっと自分を振り返り、そして「もっと彼を大切にしなくちゃ」と思うかもしれません。
『セレステ∞ジェシー』
監督:リー・トランド・クリーガー
脚本:ラシダ・ジョーンズ、ウィル・マコーマック
出演:ラシダ・ジョーンズ、アンディ・サムバーグ、クリス・メッシーナ、アリ・グレイ
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