一戸建ての売却/一戸建ての売却の基礎知識

築年数が経過した一戸建ての売却方法

築年数が20年、30年と経過した一戸建てが増えています。東京においても老朽化した一戸建てが増えており空き家問題となっています。使っていなかった一戸建てを解体する人も多いようです。築年数が経過した一戸建ては売却することが出来ないのでしょうか。また売却時にどのようなことに気をつけておくべきなのでしょうか。売り手が知っておくべきことについて解説します。

風戸 裕樹

執筆者:風戸 裕樹

不動産売却・査定ガイド

築年数が経過した一戸建ての売却は、今まで住んでいたから今後も住めるであろうという考え方で行うことは難しく、売り手にさまざまなリスクがあります。買い手がどのような目的で購入するのか、どのようなポイントに注意して売却をすればいいのか、数ある木造一戸建ての売却での売却方法についてお伝えします。

木造住宅の耐用年数

一戸建ての多くは木造住宅です。鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの一戸建て住宅もありますが、新築される約86%が木造住宅(平成20年国土交通省)であり、築年数が20年から30年経過した一戸建ての多くも木造住宅です。

木造住宅の耐用年数は20年もしくは22年です。この耐用年数は税務上の資産としての耐用年数ですので、20年以上経過した住宅には住むことができない、あるいは価値が無いというわけではありません。20年以上経過した木造住宅に住む人も多数いますし、利用できる状態の住宅がほとんどです。ちなみに、新築で木造住宅を購入した場合、住宅ローンは35年間利用することも可能です。耐用年数が経過しているから建物価値がゼロというわけではありません。

売却前にインスペクション(建物診断)をしよう

築年数が経過した一戸建ての室内

築年数が経過した一戸建ての室内

一戸建てはマンションと異なり地面と建物を支える基礎が建物によって異なります。一般的な一戸建ての基礎は「ベタ基礎」、「布基礎」と呼ばれる形態で、これは地面に直接コンクリートで基礎をする工法です。一方、マンションは硬い支持層まで杭を打ち付ける方法が採用されます。鉄筋コンクリート造など、建物の重さが重くなるためこのような方法を採用することが多いのです。

一戸建ては、上記のような基礎の場合は、年数を重ねる中で地盤が沈下などした場合に建物が傾く可能性もあります。また、木造住宅はシロアリの被害を受けたり、湿気や結露により普段目に触れない木材が腐ったり劣化しやすいのが問題点です。

このように、住みながら気づかない問題点が多く、売却を進める中で、仲介会社や買い手から問題点を指摘されることもあります。そのため、築年数が20年、30年と経過している木造住宅の売却にあたっては、出来る限り売却前のインスペクション(建物診断)を行うことをおすすめします。

現在、インスペクションを行う団体や会社も多く存在します。目視によるインスペクションは5万円前後~となっており、多額の費用は発生しません。調査報告書で問題ない場合は、買い手も安心して検討できるため、売り手にとってもメリットがあることなのです。

●インスペクションのNPO法人 
「日本ホームインスペクターズ協会」 http://www.jshi.org/

次のページでは、売り手の最大のリスク「瑕疵担保責任」についてお話します。

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