パンは日々の糧、コーヒーは……
日々の糧であるパンと、嗜好品のコーヒーでは、職人の気質が異なって感じられる。以前お話をうかがったコーヒー職人たちには、たかが一杯のコーヒーに精魂を傾けることに対して、ゆるがぬ矜持と微妙な屈折があった(スペシャルティコーヒー育ちの若い人々には、それを感じないけれど)。
パン職人たちは決して「たかがパン」とは言わない。だが、取材を通して、パン職人ならではの葛藤と喜びがあることをかいま見せていただけたように思う。
カフェのあるパン屋さんをめぐる小さな旅のあいだに、三十組のパンに関わる人々から聞いた話は、私に新しい視点や勇気や笑いをもたらし、パンをいっそういとしく感じられるようにしてくれた。
本書でお伝えする彼らの言葉の数々が、あなたにとってもそうでありますように。
(まえがきより)
special thanks
ル・プチメックとレフェクトワールのページには、オーナーの西山逸成さんと親交のあるパンラボの池田浩明さんのコメントを、またameen's ovenのページには、このお店を広く世に紹介し、併設のカフェでパンと詩をめぐるイベントをおこなったAll About「パン」ガイドの清水美穂子さんのコメントをいただきました。お二人の言葉は、お店のすばらしさをより深く理解する良き助けとなってくれました。あらためて心からの感謝を。
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