輸入車/注目の輸入車試乗レポート

テスラの第2弾「モデルS」は快速EVサルーン(2ページ目)

2003年にカリフォルニアのシリコンバレーにおいて設立された、EVベンチャーのテスラモーターズ。その第2弾である「モデルS」が日本導入。大柄なセダンボディにEVならではの自由度の高いレイアウトで最先端のシステムを搭載したその走りは、未知なる感覚に満ちていた。

岡本 幸一郎

執筆者:岡本 幸一郎

車ガイド

モーターだからこそ生み出される独特の速さ

テスラ モデルS

17インチのタッチスクリーンモニターが印象的。環境に配慮し、インテリアの素材には100%リサイクル可能なPET樹脂や鉛不使用のイタリア製レザーなどを使用

シートに収まると、インパネ中央に設定された、iPadよりも大きな17インチものサイズのタッチスクリーンパネルに目が釘付けになります。このクルマに初めて乗った人は必ずそうなることでしょう。

こちらで車両に関するほとんどの機能を集中して操作できるようになっていて、空調やオーディオのほか、車高の上下、回生ブレーキの強さ、パワーステアリングのアシストの強さの調整など走りに関することも調整可能。テールゲートの電動開閉や給電口のリッドを開けるのもこちらで行なえます。さらに、スクリーンはWEBサイトの閲覧も可能で、カーナビゲーションにはGoogleマップが利用できます。
テスラ モデルS

9インチの液冷式モーターをリアアスクルに搭載し、リダクションギアを介して後輪を駆動する。リチウムイオンバッテリーはホイールベース間のフロアに水平に格納。充電は独自の方式のほかCHAdeMOにも対応予定という

そして、モデルSの真骨頂は、動力源がモーターだからこそ生み出される独特の「速さ」です。モデルSにはいくつか仕様が用意されていますが、試乗したのは85kWhのフラッグシップモデルで、最高出力416ps/5000-6700rpm、最大トルク61.2kgm/0-5100rpmを誇ります。自然吸気のガソリンエンジンでいうと6リッタークラスのスペックであり、しかも回転のスタートと同時に最大トルクを発生するモーターがそれを生み出すのだから、その加速感たるや驚くべきもの。2トンをゆうに超える車体を、停止状態からわずか4.6秒で100km/hまで加速させます。むろんもっと速い車種だって世の中にはいくらでもあるわけですが、アクセルペダルを踏んで最初の蹴り出しがこれほど速いというのは、まさに未知なる感覚です。

なお、同モデルでの一度の充電での最大走行可能距離は、欧州NEDCモードで500km、米EPAモードの5サイクルで426kmと、執筆時点で世にあるEVとしてはトップクラスであることも特筆できます。
テスラ モデルS

フロント245/35ZR21、リア285/30ZR21というタイヤサイズ。2106kgという車両重量に対応すべくブレンボ製の高性能ブレーキを搭載。サスペンション形式はフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクで、同モデルにはエアサスが装備される

フットワークも常識を覆すもの。ワイドトレッドで低重心であるおかげで操縦安定性は極めて高い。そしてステアリングを切ると、これほど大きなクルマとは思えないほど応答遅れもなく素直に向きを変えます。車両重量が重いためサスペンションがそれなりに強化されているせいか、乗り心地にはやや固さを感じるものの、けっして不快というほどでもありません。まだ歴史も長くはなく、イチからモデルSをすべて設計したテスラが、こうしてハイレベルに走りをまとめあげていることに、感心せずにいられません。

目からウロコの連続だったテスラ モデルSに触れたひとときは、「試乗」というよりもむしろテスラのドライビング「体験」といえるものでした。
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