被害は1300億円。2012年のAIJ年金消失事件では、被害に遭ったのは企業年金事務局でしたが、今回は個人です。初めから日本人を標的にした悪質巧妙な手口であったのかもしれません。
今回の事件はこれから詳細が明らかになるでしょうが、日本で起きる大きな金融詐欺事件には、共通している3つの特徴があります。
元本保証、高利回りであること
本来であれば、投資に元本保証はありえません。元本を保証しているということは投資をしていないということであり、投資をするということは元本保証志向から縁を切るということです。ですから、専門家であれば、「元本保証、高利回り」と聞いた時点で、もう耳を貸しません。ありえない世界のことにクビを突っ込むのは時間のムダです。しかし、日本人の間ではまだまだ元本保証志向が強いので、逆に「元本保証」をうたえば資金が集まるような構造になっています。過去の詐欺事件でも、みな同じように「元本保証、高利回り」をキャッチフレーズにしていました。この言葉は、「あなたのお金を奪いたい」と同義だと思って差し支えありません。どうか、もうだまされないでください。
金融庁に届け出のないモグリ商品であること
MRI社が販売していたのは、米国ネバダ州で設定されたプライベートなファンドです。この商品は、日本の行政の監督範囲外にあります。誰もそのファンドの正当性について確認していませんし、内部情報も開示されていません。秘密の玉手箱のようなものです。プライベートなファンドがあるなら、オフィシャルなファンドもあるワケですが、それは公募投資信託(いわゆる投資信託)という商品です。この公募投資信託は、金融庁や監査法人によって監督されている金融商品ですから、ガラス張りです。国家権力がその仕組みの信頼性を守っていますから、投資信託で国民がだまされるということはありません。
ここで勘違いしがちなのは、MRI社は金融庁に第二種金融商品取引業者としての登録をしていたことです。そのことで、この会社を信用した個人もいたかもしれませんが、会社が営業許可を有していることと、あっせんする商品が公的に認可されていることとは全く別物なのです。
補足しておきますが、公募でない金融商品がすべてモグリであるワケではありません。必要があって公募としない(私募型)金融商品もたくさんありますが、それでも私募としての届け出は金融庁にされているのです。
今回のMRI社のように外国籍で金融庁に届け出のない金融商品には特に注意が必要です。
派手なうたい文句で勧誘している
こうしたお金集めが蔓延し始めるときには、必ず派手な広告が登場します。元本保証かつ高利回りであること、すでに大儲けした人がいること、有名人も推薦していることなどを刺激的にあおる広告なので、すぐにわかるでしょう。広告だとはわかっていても、惑わされてしまう人が後を断ちません。本当に良い商品なら、売り手が宣伝しなくても、その実績を客観的に評価できる第三者が放っておきません。中立的な評価を探して、見極めてください。
だまされずに、お金を生かす真っ当な投資を!
繰り返しますが、- 元本保証&高利回りをうたっている
- 外国籍の未認可商品
- 派手な広告&勧誘
投資はハイリスクハイリターンといわれますが、お金をだまし取られるなんていうことはリスクでもなんでもありません。それは、リスク以前の自滅行為です。あなたのお金を、真っ当な投資で生かしてください。
【関連記事】
MARS投資のMRI事件から学ぶべきこと (1)
MARS投資のMRI事件から学ぶべきこと (2)
投資をむずかしく考えるから失敗する