60歳以降の雇用と年金~高年齢者雇用安定法の改正

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定年後の選択肢により年金も変わります

高年齢者雇用安定法は、定年制度をはじめとする60歳以降の雇用について定めた法律です。平成25年4月から60歳を定年とする企業では、希望者全員を60歳以降も雇用することが義務付けられています。以下の3つから、いずれか1つを導入して、原則65歳までの雇用を確保しなければなりません。

●定年年齢の引き上げ
●継続雇用制度の導入
●定年制の廃止

雇用確保措置として最も多く導入されているのが継続雇用制度です。今回の改正では、60歳以降の雇用について定年前の労働条件を維持することは義務付けられていないため、継続雇用制度を利用して働くと嘱託や短時間勤務など非正規雇用に切り替わるケースも多くみられます。また、経過措置として、希望者全員を雇用するのは老齢厚生年金の支給開始年齢までとすることも認められています。平成25年4月以降に60歳を迎える人が60歳でリタイアした場合と60歳以降働く場合の雇用形態による年金受け取りの違いを事例で比較してみましょう。

【事例】
スズキシンジさんは昭和28年6月生まれで、平成25年6月に定年退職を迎えます。スズキさんの勤務先の継続雇用制度では65歳まで働くことができますが、1日6時間週4日の勤務となり、厚生年金は加入対象外となります。スズキさんが60歳でリタイアしたりフルタイムで働ける再就職先を見つけたりした場合に、現在の勤務先で働くのとではどう違うのか疑問に思っています。

■1.60歳でリタイアする場合
60歳で定年退職して完全にリタイアすると、老齢厚生年金の支給開始年齢である61歳まで収入のない空白の期間が生じます。また、61歳以降の老齢厚生年金の支給額は、60歳までの加入期間による金額となります。
60歳リタイア

 

61歳までの1年間は、老齢厚生年金が支給されない空白の期間となりますが、退職後は再就職の意思があれば雇用保険から失業給付(基本手当)を受け取ることも可能です。定年退職後に支給される基本手当は、ハローワークで手続きを行い、その後7日間の待期期間を経過すると受給することができます。雇用保険の加入期間が20年以上あれば150日分の基本手当が支給されます。また、基本手当の支給額は退職日からさかのぼって6ヵ月間の給与の平均日額をもとに計算されます(支給額に上限があります)。

■2.短時間勤務で働く場合
スズキさんの場合、勤務先の継続雇用制度を利用すると、65歳までの雇用が確保されますが、短時間勤務のため厚生年金の加入対象外となります。このため、61歳以降老齢厚生年金が支給されても在職老齢年金による給与との調整は行われず、61歳からは給与と満額の老齢厚生年金を受給することができます。
継続雇用

 

ただし、61歳以降の老齢厚生年金は60歳までの加入期間による金額が支給されます。

■3.フルタイムで働く場合
スズキさんの場合、60歳以降、フルタイムで働く再就職先を見つけたら厚生年金に加入することになります。61歳から老齢厚生年金と給与を同時に受け取ることになるので、老齢厚生年金の月額と年収の12分の1を合計した額が28万円を超えると、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金が減額調整されます。在職老齢年金による老齢厚生年金の減額調整がある場合のイメージは以下のようになります。
正社員再就職

 

なお、支給開始年齢の引き上げにより61歳から支給される老齢厚生年金は61歳になるまでの厚生年金の加入期間による年金額となります。65歳で退職した後の老齢厚生年金は、65歳退職時までの厚生年金の加入期間による年金額となります。

スズキさんの場合、65歳以降の年金額は3.のフルタイム勤務が最も多くなると思われますが、61歳からの老齢厚生年金は在職老齢年金の対象になります。なお、会社員は勤務先の規定により定年退職後、企業年金や退職一時金が受け取れる場合があります。60歳以降の働き方やライフプランを考える場合は企業年金や退職一時金も含めて考える必要があるでしょう。