REITの配当利回りは相対的に好利回り

アベノミクスが掲げるインフレ政策を反映してか、わが国の不動産市場に久し振りの追い風が吹いているようです。平成25年1月~3月における上場企業、ならびに上場不動産投資信託(REIT)による不動産の取引額は、1兆3781億円にのぼったと報道がありました。私募の不動産投資信託などを含めれば、その額は1兆5000億円を越えたかもしれません。

1兆円を超える不動産市場の活況は、リーマンショック前の平成20年1月~3月以来のことです。株式市場だけではなく、不動産市場からも投資家のリスク姿勢はリスクオフからリスクオンに転換したことが窺えます。

上場不動産投資信託にも多額の資金が流れているようで、全上場REITの配当利回りは、平成25年4月26日現在で3.4%弱まで低下しています。REITを長らくウオッチしてきた投資家にしてみれば、配当利回りはかなり低下したと考えるのでしょうが、他の商品と比較すれば依然として好利回りに変わりありません。長期金利=10年国債の利回りは同日で0.59%。株式の配当利回りも、東京証券取引所第1部全銘柄の単純平均で1.59%しかないのです。依然として相対的に他の商品よりも配当利回りが高いことから、調整を入れながらもREIT市場は活況を呈して行くと予測されます。

活況とともにREIT投資の敷居は高くなる

配当利回りからも、あるいは日本銀行の大胆な金融緩和という側面からも、REIT市場はまだまだ投資妙味があると考えられます。しかし、個人投資家にしてみれば、REIT市場が活況になればなるほど、投資の敷居が高くなると言えるかもしれません。敷居というよりは、最低投資金額が高くなると言った方が正確です。

平成25年4月26日現在、東京証券取引所には39銘柄が上場されていますが、最低投資単位である1株当たりの平均は、約53万3000円も必要になるのです。仮に全39銘柄を最低投資単位ずつ購入するとすれば、同日で約2080万円もの大金が必要になるのです。

39銘柄の全てを購入される投資家はいないと思いますが、オフィスビルタイプ、商業施設タイプ、レジデンシャルタイプなど、用途の異なるREITに分散投資を行おうと考えれば、投資金額は簡単に100万円を超えてしまうと言っても過言ではありません。

個別の株式投資ですら株価が上昇したとはいえ、売買単位のくくり直しなどで50万円もあれば分散投資の組み合わせはかなりものが依然として考えられるのです。上場しているREITの数が39銘柄と、東京証券取引所第1部の上場銘柄数の約44分の1しかないうえ、投資家の資金が急速に流れ込んでいることから、時の経過とともにさらに敷居が高くなっているのが現状なのです。

J-REITファンドにも新規募集停止が

そこで、1万円などという小口資金から投資ができる、J-REITを投資対象とする投資信託の活用が考えられますが、J-REITファンドにも、新規募集が停止されるファンドが出てきているのです。

一つは通貨選択型と呼ばれる商品で、東京海上アセットマネジメント投信の「東京海上J-REIT投信(通貨選択型)」。もう一つが、J-REITを投資対象とする投資信託で純資産総額がわが国最大の、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「J-REITリサーチオープン(毎月決算型)」です。

J-REITリサーチオープン(毎月決算型)の純資産総額は、平成25年4月26日現在約2050億円。2位はニッセイアセットマネジメントの「ニッセイJ-REITファンド」で約1750億円。3位は新光投信の「新光J-REITオープン」で約1290億円です。共に信託金の上限が3000億円とまだ余裕があります。

しかし、純資産総額最大のJ-REITリサーチオープン(毎月決算型)が4月15日以降新規募集停止となったことから、他のJ-REITファンドに資金が流れるかもしれません。3月の月間の純資金流入額はニッセイJ-REITファンドが約250億円、新光J-REITオープンが約120億円ですが、資金流入が加速するかもしれません。

煽るつもりは毛頭ありませんが、J-REITファンドの購入を検討している人は、早めに動かれる方が選択肢の幅は広いと言えそうです。

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