野宿旅とは?
野宿例。公園のベンチ
かとう:特に「これが野宿旅だ!」というのはありません。てくてく歩いて移動して、日が暮れたらよさそうな場所に寝袋を広げて……という感じです。宿を予約しなくていいから行動範囲が広がるし、お金もかからない。登山やキャンプより技術や装備がいらないし、気楽にできます。
ガイド:自然のど真ん中よりは、都市寄りという感じですね。どんな所に泊まるんですか?
かとう:公園、無人駅、道の駅とか。テントを使うこともありますが、だいたいは寝袋だけです。
野宿の装備
ガイド:寝袋とマットさえあればいい?かとう:夏なら寝袋はなくてもいいし、下に敷く段ボールや新聞紙なら現地調達できます。何かがなきゃ野宿できない、なんてことはないんです。
ガイド:これほどシンプルな旅もないですね……。
かとう:食事も質素ですよ。一応、ワンバーナーとコッヘルくらいは持っていくので、何か作ることもあります。野宿中は暇なので、暇つぶしです(笑)。食費の節約にもなるし。
野宿の効用は?
ガイド:野宿旅をしていて、得られたものってありますか?かとう:「多少のことは、なんとかなる」って、思えるようになりました。終電を逃がして、タクシー代やホテル代がなかろうが、まあ、野宿すればいいんだしって。お金がなくても、仕事がなくても、とりあえずは絶望しないで生きていく自信みたいなものはついたかなあと思います。
ガイド:震災のときは、どう思いましたか。
かとう:もちろん未曽有の大変な事態でしたから、私の野宿旅のような呑気な話を引き合いに出すわけにはいきません。ただあの時、東京では多くの人が帰宅パニックになりましたよね。一人暮らしの人まで、夜通し歩いて帰らなきゃ、とか。お子さんや同居のご家族のいる方は別ですが、私のように一人身だったら、そんなに慌てなくても大丈夫、とは思いました。停電になったら、寝ちゃえばいいし。みんなが一つずつ寝袋を持っていたら、不安が減るんじゃないかな……。