パワートレーンにも手を入れている
走り関係では、専用スポーツサスペンションの装着だけかと思いきや、1.6Lターボの過給圧制御をチューニングすることで10ps/10Nm向上している。CVTも7速クロスレシオ化するなど、ダイレクト感を強調したセッティングになっている。
従来の1.6Lでもパワー的には必要十分以上だったが、パーシャル域からの加速フィーリングは力強く、高速域のパンチ力も長く続く。それでもピーキーではなく、基準車の1.6Lターボよりもスロットル開度を抑えられるから街中から高速巡航まで走りやすいのは美点だ。
シフトレバーによるマニュアル操作が可能なのはもちろんだが、残念ながらパドルシフトは基準車同様に用意されていない。せっかくのハイパワーと7速化されたマニュアルモードを自在に操るならパドルシフトは欲しいところ。
確かにハードな乗り味だが
乗り味は低速から高速域まで速度域を問わず、基準車よりもハードな足に仕上がっている。しかし、石畳を含む欧州でも徹底的に走り込まれたというだけあって、この手のクルマとしては225/45R18のワイドタイヤを履く割に、鋭い入力のいなしはなかなか巧みだし、減衰力はしっかりと働いている。
とはいっても、元々2530mmという日産ノートよりも短いホイールベースもあってピッチングは大きめだ。しかもかなりの高速域になると、上屋の動きにもより激しくなってしまうのはやや残念である。
なお、全高と最低地上高は基準車と同値だが、ロールはノーマルよりも抑制されている印象でキビキビ感は増している。パワステのアシスト量も見直していることで、首都高速や箱根の山などにあるような中高速域でのコーナリングは得意科目だ。
また、スポーティな専用エキゾーストフィニッシャーを装着しているが、排気音は特別勇ましいというわけではなく、パーシャル域から60km/h前後で気になるレベルではないものの、こもり音はやや感じられた。
完成度の高さはなかなか
ジュークNISMOは、日産のカタログモデルとして第一弾だけに、ユーザーからのフィードバックなどこれからブランドを成長させるところだろう。エクステリアの好みは人によるが、内装などは先述したパドルシフトやアルミペダルなど、もう少しスペシャル感があってもいい。
やや細かいツッコミもしたが、敷居の低くなったカタログモデルになり、マニアだけではない一般ユーザーがディーラーで比較的容易に選択できるようになったのは朗報で、これからのニスモの「NISMOブランド戦略」に期待を持たせる仕上がりになっている。