沿線のハイライト
サンモリッツからツェルマットまで距離にして約270キロ、8時間の行程になります。急峻な山、花に彩られた牧草地。沿線に点在する小さな可愛い数々の村。全区間乗車しても決して飽きることはないでしょう。ここでは氷河特急のハイライトをいくつかご紹介します。■ランドヴァッサー橋
橋を通過した後はすぐにトンネルの中に 画像提供:スイス政府観光局 www.myswiss.jp
この沿線は付近を通るアルブラ峠にちなみ、アルブラ線と呼ばれます。鉄道の敷設工事が始まったのは1898年。今から115年ほど前のことで、工事は厳しい難所を次々と克服しながら進みました。
ランドヴァッサー橋をはじめ、約400mの高度差を5つのループトンネルで克服するなど、当時の鉄道技術の総力を結集して完成した路線です。2008年にはアルブラ線は周辺の景観と合わせ、世界遺産に登録されました。
ツェルマット/クールからサンモリッツに向かう列車の場合、ティーフェンキャステルTiefencastelの駅を過ぎればそろそろカメラの準備をしましょう。やがて進行方向の右手前方に橋が姿を現し、気の早い乗客はカメラを手にそわそわとしだします。
反対方向の列車に乗った場合は、フィリズールの駅を出発または通過して、最初のトンネルを出たらすぐに橋の上です。カメラを構えるなら、進行方向に向かって左側。列車は橋の上をあっという間に通り過ぎるので、シャッターチャンスを逃さないようにしましょう。
■スイスのグランドキャニオン
ワイルドな景観が広がるスイスのグランドキャニオン 画像提供:スイス政府観光局 www.myswiss.jp
荒々しく流れるライン川で、リバーラフティングに挑む人たちを見ることができるかもしれません。
■オーバーアルプ峠
氷河特急の最高地点が標高2033mのオーバーアルプパス(峠)駅。氷河特急は通過して停まりませんが、列車はスピードを落としながらゆっくり進みます。標高2000mを越えるこの周辺は、例年なら6~7月の時期でも残雪を目にするでしょう。線路のすぐ近くまで迫るオーバーアルプ湖の眺めも印象的です。
サンモリッツからツェルマットへ向かう列車の場合、オーバーアルプパス駅を越えた後はアンデルマット駅に向かってぐんぐん高度を下げていきます。初夏は沿線の牧草地帯に高山植物が咲き誇る別天地。思わず列車から降りて牧草地の上に寝転びたいような衝動に駆られることでしょう。